「すごく安定している」 特定原付の「四輪型」使い勝手バツグン!? 高齢者の免許返納で熱視線のワケ

AI要約

グラフィット(glafit)が、四輪型特定小型原付のプロトタイプを発表し、試乗会を開催。

新しい乗りものとして期待され、免許返納後の移動手段を模索する人々に注目される。

グラフィットは二輪車から四輪型へと進化し、免許返納後の移動課題に対応。

試乗会での声を収集し、市場投入を急ぐ姿勢を示す。

四輪型特定小型原付は車幅60cmで免許不要。公道走行や歩道走行が可能で、実用性が高い。

運転感覚も利用者にとって乗りやすさを追求している。

「すごく安定している」 特定原付の「四輪型」使い勝手バツグン!? 高齢者の免許返納で熱視線のワケ

 自転車と原付の二刀流「モビチェン」で知られるグラフィット(glafit)が、初の“四輪型”特定小型原付のプロトタイプを2024年6月に発表し、7月から本社のある和歌山市を皮切りに東京、大阪で試乗会を開催しました。

 

 会場には親子で体験し、免許返納後の移動手段を模索する家族の姿も。体験者が口にしたのは、クルマでも電動アシスト自転車でもない「免許返納後」に使える移動手段でした。

「新しい乗りものの規格について議論が続き、まだ特定小型原付という言葉もない当時から、『四輪型』の構想を考えていました。その時、ほとんどの人の頭の中にあったのは電動キックボードだったのですが、社会課題を解決するための乗りもの、四輪型が世の中に必要だと思っていました」

 東京試乗会で、利用者の応対に追われるグラフィットの鳴海禎造社長は、新しいパーソナルモビリティの必要性を、こう訴えました。

 同社は、これまで自転車として乗ることができる電動原付バイク「GFR-02」や免許なしで乗れる特定小型原付「NFR-01PRO」などを商品化。先進的なアイデアをパーソナルモビリティで実現するスタートアップとしての認知度を高めてきました。これらは着座タイプですが二輪車。フル電動で体力は補えたとしても、バランス感覚が必要でした。

 鳴海社長は43歳。父親は74歳。自宅からの移動にクルマは欠かせませんが、免許返納後の移動についても考えなければならなくなってきています。返納後の移動手段を提供することは、自身の課題でもあると鳴海社長は話します。

 試乗できる四輪型の車両はまだ1台しかありません。それでも、プロトタイプの公開を急いだ理由は、試乗会などを通じてより多くの声を聞き、少しでも早く市場投入にこぎつけたい、という思いからでした。

 2024年7月21日、東京都江東区での試乗会には、免許返納を前にした人が遠方から訪れました。

 神奈川県大和市在住の男性は、70歳を過ぎて乗用車を手放しました。運転免許はまだ手元にありますが、そこで改めて実感したことがあると言います。

「これまでよく行った遠くのスーパー、気に入っているレストランに行けないですね。バスがあるけど、時間がかかって不便なんです。自転車でいいじゃないかと思っても、高校の通学以来乗ってないし、持ってもいない。やっぱり乗用車のかわりに簡単に乗れるものがないとだめだ、と思って試乗する気になりました」

 グラフィットが提案する四輪型は、車幅60cm。自転車のハンドル幅と同じです。免許不要である特定小型原付の規格なので、返納後も乗ることができます。

 公道走行の基本は最高速度20km/hで車道左端を走りますが、特例特定小型原付としての機能(最高速度6km/hモード)も備えているので、自転車が通行できる歩道も走ることができます。この点では、歩道のみを走行できる速度6km/h以下のいわゆる「シニアカー」と比較すると、実用性が期待できます。

 70歳の男性は、四輪型の運転感覚について、こう話します。

「この四輪型はスロットルを離すとブレーキがかかるので(※減速で回生ブレーキが効くので滑走せず、短い距離で停止する)、乗りやすかったです。普通はアクセルを戻しながらブレーキ踏まないといけないですから乗りやすいです」