巨大地震で崩壊してしまう建物としない建物の「決定的な差」

AI要約

2011年3月11日に起きた東日本大震災をきっかけに、日本全体で地震への備えが重要視されるようになった。

『首都防衛』という本では、最悪の被害想定や防災対策に関する重要な情報が提供されており、日常生活における安全意識向上につながっている。

地震に対する耐震基準の変遷や、建物の耐震性に関するデータに基づく分析が行われ、不安要素が解消されつつある一方、今後も警戒が必要であることが示唆されている。

巨大地震で崩壊してしまう建物としない建物の「決定的な差」

2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。

もはや誰もが大地震から逃れられない時代、11刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。

(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)

もし巨大地震が襲ってきたとき、自分の家が大丈夫かどうか把握している人はどれだけいるだろうか。

〈1981年以降の新耐震基準でも地震が起きたときに倒れる可能性がある木造住宅を建築士は「グレーゾーン」と呼ぶ。1981年から2000年に建てられた家は、少なくとも築20~40年が経過している。

1981年以前の旧耐震基準の建築ならば、なおさら不安を抱く人もいるだろう。自分の家が地震に耐えられるのか否かの目安になるのは建築基準法が定める「耐震基準」なのだが、この「旧耐震基準」とは、震度5程度の揺れで家屋が全壊しないという基準であった。

だが、1978年に起きたM7.4の宮城県沖地震では最大震度5でも建物の全壊が相次ぎ、1981年の改正では、震度6に達する程度の地震でも人が亡くなるような全壊はしない「新耐震基準」に強化された。〉(『首都防衛』より)

ただ、阪神・淡路大震災をはじめ大きな地震によって「新耐震基準」の建物でも全壊する被害が起きた。

その後の新潟県中越地震や新潟県中越沖地震では、2000年以降に建てられた建物の被害が少ないことが明らかになっている。

データを見てみると、わかりやすい。

〈東京都建築士事務所協会江戸川支部による区内の木造住宅の耐震診断では、地盤の良し悪しにかかわらず、「旧耐震」の木造住宅の95%は震度6強で「倒壊する可能性が高い」との結果が出たが、「グレーゾーン」住宅でも82%が「倒壊する可能性が高い」と診断された。2000年以降の住宅では「倒壊する可能性がある」は8%で、「一応倒壊しない」が38%、「倒壊しない」は54%だった。〉(『首都防衛』より)

東京都は2022年末、「東京の木造住宅のすベて(100%)を2000年以降の耐震基準を満たす強い住宅にする」という野心的な目標を掲げた。

「そのとき」に備えて、自分が暮らす建物の安全確認をしておきたい。

つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。