「理系を選んだら就職も結婚もできない?」女子生徒の疑問…背景に〝無意識の偏見〟 化粧品会社の支援

AI要約

女性研究者の割合が低い日本において、女子生徒が理系進学に関する疑問を持つ背景を探る。

女性科学者や専門家は、女子が理系に進んでも職業選択の幅が狭まるというイメージを否定し、自分の興味や好きなことを追求することが重要であるとエールを送る。

親や教師の思い込みが、女子生徒の理系進出に影響を与える可能性があり、多様な選択肢に触れて考えることの重要性が指摘されている。

「理系を選んだら就職も結婚もできない?」女子生徒の疑問…背景に〝無意識の偏見〟 化粧品会社の支援

「女子が理系に進むと、職業選択の幅が狭まるのでしょうか?」。若手女性科学者を対象とした授賞式のパネルディスカッションで、招待された女子生徒が登壇者たちに尋ねました。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、女性研究者の割合が最低レベルの日本。理工系学部に進学する女性の割合も低いことが分かっています。授賞式を主催した化粧品会社は、「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている」と訴えます。

若手の女性科学者を支援するために2005年に創設された「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」。2022年からは、「科学について考えるきっかけになれば」と授賞式に文理選択前の生徒や理系を選択する女子生徒らを招いて、受賞者や識者らとパネルディスカッションを開いています。

「女子が理系に進むと職業選択の幅が狭まるのでしょうか?」

主催する化粧品会社の日本ロレアル(東京都新宿区)の堀田満代さんによると、2023年のパネルディスカッションで女子生徒からそんな質問が投げかけられたといいます。

しかし、女性研究者たちはそのイメージを否定していたそうです。

パネルディスカッションに登壇した自然科学研究機構長の川合眞紀さんは、「調査研究でダイバーシティーはとても大切。好きなことを突き詰めた結果が研究者という選択だったら、とことん好きなことをやってください」という趣旨のエールを送っていたといいます。

堀田さんは、女性の理系進出について女性研究者と意見交換をする際、「ロールモデルの欠如」や「アンコンシャスバイアス」が話題に上がるといいます。「気づかないうちに、ジェンダーの役割を生徒自身や家族、学校現場などで決めつけてしまっている。その結果、女性の選択が狭まっていることがあります」

女子生徒が持つ理系イメージの背景には、親や教師の〝思い込み〟もあると堀田さんは指摘します。

「『理系に進学すると進路の選択の幅が狭まり、結婚したくても結婚できない』と思い込んでいる親御さんもいるようです」

理系に進む女性が少なかった親世代には、その後の進路がイメージしづらいのではと推察します。

しかし、就職情報会社マイナビの「2025年卒大学生活動実態調査」によると、6月15日時点の内々定率は文系女子が77.3%、文系男子が76.3%に対し、理系女子は87.0%、理系男子は87.4%でした。

内閣府の調査によると、働く上でのイメージや進路選択において影響を受けた人は、女性は母親が多く、男性は父親が多いという結果になりました。

また、女性保護者の最終学歴が理系だと、自身の認識するタイプを「理系」、将来の進路を「理系」とする娘の割合は高くなります。

女性保護者が文系で娘が理系を目指す場合、「多様な選択肢に触れる機会を持ち、考えることが重要」と堀田さんは話します。

ロレアル財団が女性科学者支援のために掲げているスローガンは「世界は科学を必要とし、科学は女性を必要としている」。多様な考え方やバックグラウンドを持った研究者によって課題解決策を見つけていくことが科学のあり方だと考え、引き続き女子生徒の理系選択や女性科学者を応援していくそうです。