最高速度90km/hの原付スーパースポーツ!? 腕に覚えのあるライダーに贈るホンダ「ベンリイSS50」とは?

AI要約

ホンダが50ccクラスでスポーツバイクの波に乗り、1967年に「ベンリイSS50」を発売。

エンジン出力でトップクラスの6PSを誇り、5速ミッションを採用したことで優れたパフォーマンスを実現。

スポーツ車としては若者向けのスタイリッシュなデザインで、ハイテクニックな走りを楽しませた。

最高速度90km/hの原付スーパースポーツ!? 腕に覚えのあるライダーに贈るホンダ「ベンリイSS50」とは?

 今も昔も、高性能なスポーツ車をラインナップすることは魅力的な商品を展開するのみならず、そのメーカーの技術レベルを示し、ブランドイメージの向上にも貢献します。日本の公道が徐々に舗装され、1955年から始まった浅間火山レースの影響からか、1950年代後半から「スポーツ」を車名に加えて、走りをアピールしたモデルが各メーカーから多く発売されました。

 ホンダでは排気量125ccクラスの「ベンリイCB92スーパースポーツ」や、250ccクラスの「ドリームCB72スーパースポーツ」などを発売し、「CB」の車名とともにスポーツモデルが充実していきます。

 1960年代に入ると、本来はエントリーモデルである50ccの原付バイクにも、そのスポーツバイクの波が訪れました。2ストローク車が主流のクラスに、ホンダは「スーパーカブ」の4ストロークエンジンを流用した「スポーツカブC110」(1960年)を発売します。

 さらにスーパーカブの新エンジンがOHC(オーバー・ヘッド・カムシャフト)へと進化したタイミングで、1967年に「ベンリイSS50」が発売されました。

「ベンリイSS50」の注目点は、やはりエンジンです。原付50ccクラスで最高となる6PSを11000回転で発揮しました。

 さらにスーパーカブの自動遠心クラッチをマニュアルミッションに変更し、原付50ccの量産市販車としては初の5速ミッションを採用します。登坂や追越し、カーブなど、どこでもエンジン出力をフルに発揮できるギアを選べました。

 停止状態から200m先まで13.8秒の発進加速で、最高速度は95km/hを誇ります。一方、高出力型ながら静かで粘り強い4ストロークエンジンは、1Lで90km走行という好燃費(カタログ値)で経済的でもありました。

 フレームはビジネス車と共通のプレスバックボーンですが、ハンドルは低く、シャープな燃料タンクやスポーツタイプのシートなど、若者向けのスポーツ車として相応しい精悍なスタイルです。

「ハイテクニックが楽しめる5速ミッション」のキャッチコピーに、胸熱の若者も多かったのではないでしょうか。