フィリピンが世界で最も熱い「高級住宅市場」に、価格上昇率1位

AI要約

フィリピンの不動産ブームにおいて、マニラ中心部で高級住宅プロジェクトが急速に展開されており、価格が急上昇している。

主要な開発業者は100万ドル以上の高額物件を販売し、需要はパンデミック中も高まり続けている。

物価上昇の主な要因はフィリピン経済の好調と地域インフラ投資にあり、外国人投資家も増加している。

フィリピンが世界で最も熱い「高級住宅市場」に、価格上昇率1位

不動産ブームに沸くフィリピンでは、首都マニラの中心部で大手デベロッパー各社が高級住宅プロジェクトの展開を加速し、地元の富裕層や外国人向けに、100万ドル以上の高額物件を売り込んでいる。

英不動産サービスのナイト・フランクが5月に発表したレポートによると、マニラ中心部のマカティ地区と近隣のエリアの高級住宅の価格は、2024年3月までの1年間で26%上昇し、同社が調査した世界44都市の中で最も大きな上昇幅を記録した(2位は東京で12.5%、3位はムンバイで11.5%だった)。ナイト・フランクは、この上昇の主な原因がフィリピンの経済の好調とマニラ周辺の大規模なインフラ投資にあるとしている。

大手デベロッパーのアヤラ・ランドは昨年、マカティ地区のビジネス街の中心の51階建ての高級コンドミニアム「パーク・ヴィラ」の販売を開始した。広さが610平方メートルの45戸の各部屋の価格は、約5億ペソ(約13億4000万円)で、入居者はフィリピン最古の財閥であるアヤラグループが本社を置く、アヤラ・トライアングル・ガーデンを一望することができる。この物件は、約20%がすでに販売済みという。

フィリピンの高級物件への需要は、パンデミックの中でも高まり続け、ロビンソンズ・ランドとシャン・プロパティーズの合弁会社が建設した55階建ての高級コンドミニアム「オーレリア・レジデンス」も、昨年末の段階で285戸のうちの80%以上を販売した。2019年に着工したこの物件は、年内に完成し、今後2年間で入居者に引き渡される。

マカティの東のボニファシオ・グローバル・シティにあるオーレリア・レジデンスの各物件の広さは、240平方メートルから349平方メートルで、価格は1億2000万ペソから2億1000万ペソ(約5億6000万円)だ。

「フィリピンの高級物件の価格を押し上げている要因は数多くあります」とロビンソンズ・ランドの親会社のJG サミットのCEOのランス・ゴコンウェイは述べている。「フィリピン経済は、コロナ禍後の回復力と成長を見せており、インフラ関連の投資も活発です。また、フィリピンは東南アジアの非常に戦略的な位置にあり、地域の大規模なハブに近いというメリットもあります」

■ドル高が好調を後押し

ビリオネアのアンドリュー・タンが経営するメガワールドも、高級住宅開発に重点を置いており、同社のプロジェクトの約80%がアッパーミドルから高級セグメントを対象としている。同社は、ボニファシオ・グローバルシティの「アップタウン・モダン・タワー2」を含む10の新たな住宅プロジェクトの販売を今年開始する予定だ。54階建ての「モダン・タワー1」の最も広いユニットは約200平方メートルで、価格は約8400万ペソ(約2.2億円)だった。

メガワールドの親会社のアライアンス・グローバル・グループのケビン・タンCEOは、メガワールドの業績が借入コストの上昇やペソ安にもかかわらず、年間1450億ペソ(約3900億円)の販売額の達成に向けて順調に推移していると述べている。同社の住宅販売の29%は海外からの購入者によるもので、「ドル高が需要を押し上げる要因になっている」とタンCEOは述べている。

「ドル高とペソ安は住宅需要に良い影響を与え、外貨による購買力を増やしたフィリピンの富裕層にとっても、当社の物件がより魅力的になりました」とタンCEOは指摘した。「ただし、これは当社の成長の一面に過ぎません。当社は、海外での販売網の拡大と、未開拓の海外顧客にアプローチするための革新的なツールの導入によって売上を伸ばしています」