「根性論を持ち込む上司」に部下が絶対言ってはいけない「納得の言葉」

AI要約

職場で見られる問題行動の背景には、自己認識の欠如や現実からの逃避といった心理的要因が存在する。

マニック・ディフェンスによって現実に直面することを避ける傾向があり、その結果不正行為に手を染める上司なども現れる。

上司や同僚が職場を腐らせる行動を示す際には、具体的な数字や客観的な意見を提示し、的確に問題を指摘して対処する必要がある。

「根性論を持ち込む上司」に部下が絶対言ってはいけない「納得の言葉」

根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち6刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

自覚がない人を変えるのは至難の業だ。われわれが変わらなければならないと自分で思うのは、何らかの不具合や問題が生じていると自覚したときだけである。その自覚がないと、わざわざ変わろうと思うわけがない。とくに年齢を重ねるほど、変化を嫌がるようになるし、自分を変えるのも億劫になる。

しかも、マニック・ディフェンスによって軽躁状態になりやすいのは、目の前の現実を直視したくなくて現実から逃避しがちな人である。だから、自分の現在の状態をきちんと見つめて把握し、気分が高揚しすぎて多弁・多動になっていると自覚することなど到底できない。

その結果、不正行為に手を染める上司もいる。某保険会社で、日々部下を叱咤激励し、自分も営業電話をかけまくり、気合と根性の重要性を延々と説いていた50代の営業部長が運転免許証や保険証などの本人確認書類を偽造して、保険契約を捏造していたことが発覚した。顧客に経済的損害を与えたわけではないが、実体のない保険契約を結んで、部下が実績をあげているように見せかけていたのだ。

この部長は、自分の部署がなかなか契約を取れないという現実を受け入れられなかったのだろう。もしかしたら、実績をあげられないと自分のポジションを失うのではないかと喪失不安にさいなまれていたのかもしれない。

そこで、マニック・ディフェンスによって乗り越えようとしたものの、気分の高揚と活動性の亢進によって、やりすぎともいえる不正行為にまで手を染めてしまったわけである。

こうした上司には、たとえ見たくない現実であっても目を向けるようにしてもらうしかない。少しでも現状を認識してもらうために、できるだけ具体的な数字や根拠を提示し、「業界全体を見ても、こうなっている」「数字が落ちているのは長期的な傾向」などと一般的かつ客観的な意見として伝えるべきだ。「あなたのやり方は現実的ではない」「あなたは現実を見ていない」などと口が裂けても言ってはいけない。

つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。