「背もたれが直線的」は杞憂? 阪急「PRiVACE」実際どうなのか、体験し尽くす!「向かい合わせ?できますけど…」

AI要約

阪急電鉄が2024年に有料座席サービス「PRiVACE」を特急列車に導入し、その試乗会の様子を報告。

「PRiVACE」の車両は外観や内装にこだわりがあり、ホテルのような雰囲気を演出。

座席はプライベート感が強く、座席間には木製の仕切りが設けられている。

「背もたれが直線的」は杞憂? 阪急「PRiVACE」実際どうなのか、体験し尽くす!「向かい合わせ?できますけど…」

 鉄道事業者のあいだで近年、無料速達列車に有料座席車を連結する例が増えています。阪急電鉄も2024年7月21日(日)より、特急列車にて有料座席サービス「PRiVACE」のサービスを開始。どのような車両なのか、座席鉄である筆者(安藤昌季:乗りものライター)は7月8日(月)、試乗会に参加しました。

 ただ筆者は当初、阪急電鉄から出されたプレスリリースを見て「この座席、本当に快適なのか」と若干不安を抱いていました。「背もたれの形状が直線的に見え、枕も備わっていないことで、背中の曲線に合わない着座感になっているのではないか」とか、「中間肘掛けに仕切りがあることで、かなり肘掛けが狭く見える」といった印象を受けたのです。とはいえ実際に座らねば疑問は払拭されません。

「PRiVACE」は新型車両2300系の4両目に連結されます。「京都線の特急車において、4両目は比較的乗車率が低く、かつ列車の中央付近でどの駅からも利用しやすい」(阪急電鉄広報部)という理由なのだそうです。外観は中央に飾り扉、細い個別の側窓が連続する個性的なスタイルで、一目で「タダモノではない」雰囲気。車両番号もこの車両だけ金色に輝いています。

 通常、鉄道車両は車端部に側扉を設けるのですが、「PRiVACE」は車両中央部に側扉が1つだけあります。各駅でのスムーズな乗降、また客室を扉とエントランス部分で2つに仕切ることで、個室感を演出したそうです。

 側扉も高級感のあるデザイン。広報部によると「窓ガラスはステンドグラスをイメージし、柄は阪急のHを模しています。ライトブラウンのラインで囲み、特別な空間への玄関口としての存在感を強調しています」とのことでした。

 車内を区切るエントランスは「ホテルのような空間を意識した」とのことで、ダウンライトや大理石風の壁が上品です。前述の通り、客室は2つに分けられていますが、大阪方では1+2列、京都方では2+1列にリクライニングシートが並び、点対称の座席配置となっています。

 異なるのは、大阪方には共用の荷物置き場が、京都方には車いすスペースと車いす対応座席が配置されている点です。アテンダントは乗務していますが、荷物置き場を使う際は1~7番の座席を予約した方が、同じ室内で安心感があります。

 客室インテリアは木目調の化粧板に、ゴールデンオリーブ色の座席が配置されており、阪急の伝統を感じます。木目については様々なサンプルを比較選定したそうです。

 座席のモケットはロングシート部分と同じ布地で、列車全体の統一感もあります。床には厚めのカーペットが敷かれており、歩行音や走行音が吸収されて、快適性を向上させています。これは車内デザインに合う特注品とのことです。阪急初となる空気清浄機も設置されています。

 なお、1+2列の座席間の通路は広く見えますが、広報部は「許される中で一番狭くして、座席幅に面積を取った」とのこと。デザインの力を感じました。

 座席は背面側に木が貼られており、背面テーブルはなく、マガジンラックとドリンクホルダー、小物掛けだけで、すっきりとしています。広報部によると「バックシェルの採用も考慮しましたが、座席間隔や座席幅、座席と車内デザインの調和の観点から、現在のデザインとなりました」とのことで、着座すると大きなヘッドレストと中間仕切りで隣席の乗客がほぼ見えず、プライベート感溢れるデザインです。