“道路”の進化が止まらない! 数千万台の自動車から収集される「リアルタイム情報」の衝撃、欧米より10年以上遅れた日本どうなる

AI要約

クルマが走ることで収集される精度の高い交通情報が道路の進化を促している。

車両に搭載された技術が道路管理や安全運転支援に活用され、自動車が道路自体の情報源となっている。

道路管理者やAI技術の発展により、道路の異常や交通状況をリアルタイムにモニタリングし、ドライバーに情報を提供するシステムが整備されている。

“道路”の進化が止まらない! 数千万台の自動車から収集される「リアルタイム情報」の衝撃、欧米より10年以上遅れた日本どうなる

 道路の進化が止まらない――。

 クルマが走れば走るほど精度の高い渋滞情報が収集され、今や数百万台、数千万台規模で世界中から自動車や沿道の状況がリアルタイムに収集され、ドライバーや道路管理者の移動支援や安全運転支援に活用されている。これら走行車両が生成する道路交通情報が日常のビジネスに活用、浸透している。

 以前は定点で交通の流れを観測していた時代から、クルマが触覚となり、移動体による交通状態を観測する、いわゆるプローブカーやそこから得られる

「プローブデータ」

が道路交通ビジネスの主流の時代に取って代わり、道路自身が大きく変革してきたのをご存じだろうか。

 今や、ほとんどのクルマには衛星利用測位システム(GPS)端末が設置され、車両の位置と合わせて走行速度が把握できる時代だ。車両には車両制御のためのコンピューターが内蔵されており、それら情報の活用やアイデアも次々に実用化されつつある。

 例えば、車両の急な車線変更の状態を観測し、人工知能(AI)が道路の通行規制や道路の異常を自動検知する技術はすでに実用化の段階であり、違法駐車車両の自動監視も海外では始まっている。

 また、ワイパーの稼働状態から雨天の状況をいち早く把握し、フォグランプの稼働状況から霧が発生している状況を把握し、これら情報を後続車に伝達するといった夢のような話も、自動運転時代には必須のサービスとなっていることは確実だろう。

 日々の道路状況をモニタリングし、市民の安全な移動環境を守っている人たちは、日本と同様に海外も道路管理の専門家であり、道路管理者と呼ばれる人たちだ。

 例えば米国では、道路にはさまざまなセンサーやカメラが設置されており、道路の渋滞や異常が多発する箇所には、目視での観測態勢が充実している。近年はAIや高度な画像処理技術により、道路の異常を自動検知する仕組みも常識になりつつある。

 都市部には500m間隔で車線ごとに固定のセンサーが道路上に埋め込まれており、時々刻々と変化する交通状態を区間ではなく車線ごとにモニタリングしている。

 それに加えて、車両の移動体データからリアルタイムな交通状況をモニタリングし、管制センターを経由し、道路上の表示板やナビゲーションを通して、ドライバーに情報伝達しており、事故対応や保守点検といった道路管理用にも広く活用されている。

 例えば、カリフォルニア州やフロリダ州では、道路上を走行しているプローブデータをHERE社から購入し、定点観測データとマージした車線ごとのリアルタイムで精度の高い渋滞状況をドライバーに提供している。HERE社はドイツの主力自動車メーカーの合弁企業であり、プローブデータを用いたビッグデータビジネスを世界展開しているパイオニアだ。