経営企画部門は本当に役に立っている? デジタル敗戦の「戦犯」扱いされているワケ

AI要約

経営企画部門は、企業の戦略立案や経営計画作成、組織の管理・運営、事務的業務など幅広い業務を担当している。

日本独自の文化として、経営企画と財務の機能が分離されている歴史的経緯がある。

1950年代に米国企業のコントローラー制を導入する試みがあったものの、コントローラー制が浸透せず、経営企画部門が生まれた。

経営企画部門は本当に役に立っている? デジタル敗戦の「戦犯」扱いされているワケ

 経営企画部門って何をやっているんだろう?──そう思ったことがある人は多いかもしれない。何かしら大事な業務を担当しているんだろうけど、実際に何をしているか、どんな役割を担っているのか分かりにくい「経企」。実は、欧米にはない日本独自の文化だということをご存じだろうか。コロナ禍でデジタル化の遅れが顕在化する中、デジタル敗戦の“戦犯”として経企がやり玉に挙げられ、その存在意義を見直す機運が高まっている。

1ページ目を1分でまとめた動画

 そもそも、経営企画部門はどんな仕事をしているのだろうか。

 企業によって具体的な内容は違うが、一般的にその業務範囲は、企業の戦略立案や中長期の経営計画作成のほか、社員がパフォーマンスを発揮できるように組織を管理・運営するマネジメント・コントロール、取締役会の事務局などトップマネジメントに直結した事務的業務など多岐にわたる。

 この「経企」を設置する習慣が日本だけに定着するまでには、ややこみいった歴史的経緯がある。

 日本では第2次世界大戦後の1950年代、当時の通産省によって米国企業の「コントローラー制」を導入し、日本企業の経理財務部門にコントローラー機能を持たせることが検討された。

 米国におけるコントローラー制とは、CFO(最高財務責任者)の下で財務計画立案や財務データ分析などを担う財務管理担当者を指す。ただ、借入金の依存度が高かった当時の日本企業の経理部門では、新たな業務を担当するほどの余裕がなかったなどの事情から、コントローラー制は浸透しなかった。

 一方、経理部とは別に経営参謀本部が必要だという意見もあり、財務会計機能は持たないものの、常務会事務局と予算管理を担当する、いわば「疑似コントローラー」としての経営企画部門が成立した。

 こうして日本企業は欧米とは異なり、「経営企画」と「財務」の機能が分離したまま、独特の企業文化が醸成されることになった。