逆イールド解消予想、「トランプトレード」で活性化もFRBの力必要

AI要約

トランプ前米大統領の選挙戦勢いが米長期国債利回りを上昇させ、政治が債券市場に新たな息吹を吹き込んでいる。

市場は「トランプトレード」と呼ばれる状況であり、米金融当局の利下げが必要とされている。

逆イールドから動き始めた米30年債利回りや共和党全国大会の結果が市場に影響し、状況の変化が注目されている。

(ブルームバーグ): 債券市場で最も苦境にある賭けの一つに政治が新たな息吹を吹き込んだ。だが真の活力をもたらし得るのは米金融当局だけだ。

トランプ前米大統領の選挙戦の勢いは米長期国債相場を下押しし、利回りは上昇している。減税と関税引き上げを掲げるトランプ氏の計画はインフレを引き起こし、米財政を悪化させるとの想定だ。共和党が議会で主導権を握る場合はなおさらだ。

米国債市場では短期債利回りが長めの債券利回りを上回るという異例の状況が続いているが、このいわゆる「トランプトレード」は、市場が再び正常化すると見込んできた投資家に報いるという副次的効果をもたらした。とはいえ、こうしたトレードが本格的に定着するには、米金融当局の利下げが必要だ。そうなれば、イールドカーブの期間短めの部分が持続的に低下する下地となる。

バンガードのシニア・ポートフォリオマネジャー、ジョン・マッツイレ氏は「米利下げは利回り曲線スティープ化の大きなきっかけになる。政治について言えば、11月の選挙で(トランプ氏と共和党が)大勝する可能性があれば、財政赤字が焦点に浮上する」との分析を示した。

過去2年間、米国債市場は逆イールドから抜け出せず、2年債利回りが指標の10年債利回りを上回ってきた。それと同じくらいの期間、多くの人が逆イールド解消に賭けてきたが、ほとんど実を結ばなかった。だが状況は変わりつつある。

週末のトランプ氏暗殺未遂事件を受け、15日には米30年債利回りが1月31日以来初めて2年債利回りを上回った。再活性化した共和党有権者が上下両院選の結果にどう影響を及ぼすかやこの日開幕した共和党全国大会が市場で意識されている。

クロスマーク・グローバル・インベストメンツのチーフ市場ストラテジスト、ビクトリア・フェルナンデス氏は15日、ブルームバーグテレビジョンに対し、「選挙まで長い時間があり、状況は急速に変化し得るため、一歩引いて考える必要がある」とし、トランプ氏を材料とするスティープ化が持続する場合、「共和党全国大会で明らかになる内容」や、トランプ陣営が穏健派の有権者を取り込めるかどうかに「大きく関わってくる」と語った。