空飛ぶクルマは「飛ぶ飛ぶ詐欺」?大阪万博で各社「デモ飛行」の厳しい現実

AI要約

欧米のAAMメーカーは2024年の商用運航を目指していたが、規制や認証の遅れで困難になる。

JAL提携のボロコプターはパリオリンピック期間中に試験飛行を行う予定。

日本のスカイドライブは商用飛行の目標を延期し、デモ飛行を発表。

空飛ぶクルマは「飛ぶ飛ぶ詐欺」?大阪万博で各社「デモ飛行」の厳しい現実

 欧米の次世代空モビリティ(AAM:Advanced Air Mobility)メーカーは2024年のパリオリンピックでの商用運航を目指していたが、規制や認証の遅れから計画が困難になった。一方、日本で唯一AAMの開発を行う、スカイドライブ・ヴァーティカルエアロスペース(丸紅と提携)も、2025年の大阪・関西万博で商用飛行を延期し、デモ飛行を実施予定だ。本当に空飛ぶクルマは商用飛行に至るのか。その現在地を見てみよう。

 欧米のAAMメーカーは、当初2024年のパリオリンピックでの商用運航開始を目指していた。しかし、計画全体に遅延が生じており目標達成が困難な状況にある。これは主に各国の規制や認証プロセスに予想以上に時間を要していることが原因とされている。

 その中でも、先んじているのはJALが提携するドイツのボロコプターだ。6月21日に在仏日本商工会議所は、同社がパリオリンピックの期間中に試験飛行を行うことを発表した。機体は欧州航空当局(EASA)の型式証明(TC:開発した航空機が航空当局の審査により安全に空を飛ぶことを立証する耐空証明手続き)をまだ得ていないが、商業営業に替わり、無償の試験飛行に限定することで許可された。ルブルジェ空港、シャルルドゴール空港、そして、パリ市内のオーステルリッツ駅付近のセーヌ川上に発着施設が整備され、操縦士と乗客1名の2人乗りにて運航される。パリ市内は建物上空を避け、セーヌ川の上空を飛行する。

 日本では、スカイドライブ(本社:愛知県豊田市)が唯一AAMの設計、製造を行う。同社は、2025年の大阪・関西万博での商用飛行を目標に、日本国内および国際的な型式証明獲得に向けたプロセスが進行中であった。ちなみに、同社の米国連邦航空局(FAA)にへの型式証明の申請は、4月29日に受理され、現在審査中とのこと。

 しかし、同社は6月14日のニュースリリースで、来年の万博では商用飛行ではなくデモ飛行を行う旨を発表した。商用飛行とは、利用者から運賃を収受し、定期的に定点を輸送することだ。いわゆる公共交通機関にあたる。今回スカイドライブはこれをいったん延期して、一般客の利用は想定せず、パリオリンピックでのボロコプターと同様に、飛んで見せるだけのデモフライトを実施すると発表したのだ。