エヌビディアの時価総額が一時「世界首位」のウラで…日本の半導体産業が「アメリカには絶対追いつけない」哀しい理由

AI要約

アメリカの半導体大手企業エヌビディアが時価総額トップに躍り出たことで、「GAFA+M」のトップ企業群に変化が生じている。

エヌビディアはGPUの設計によって生成AIの需要を急速に増加させ、株価が急上昇した。

アメリカと日本の企業活動の違いから、アメリカの企業価値を支えるのは知力であり、日本とは異なる経済的な特性が見て取れる。

エヌビディアの時価総額が一時「世界首位」のウラで…日本の半導体産業が「アメリカには絶対追いつけない」哀しい理由

これまで「GAFA+M」によって占められていた世界の時価総額トップ企業群に、エヌビディアが加わった。これらの活動を支えるのは、高度の知識だ。トップ企業群のうち2社だけで、時価総額が東証プライム全社とほぼ同じになる。

6月18日、アメリカ半導体大手エヌビディアの時価総額が、一時、世界首位となった。

これまで「GAFA+M」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)と呼んでいた世界トップ企業群のメンバーに、変化が生じていることを示すものだ。

エヌビディアが行なっているのは、半導体・GPUの設計だ。この半導体は、もともとは画像処理のためのもので、3Dゲームをなめらかに動かすためのものだった。ところが、この半導体が、生成AIの学習や動作を飛躍的に高めることが分かった。そして、ここ数年の生成AIの利用の広がりによって、急速に需要が増加したのだ。

エヌビディアの株価は、上昇基調にはあったものの、2022年まではあまり大きな変化を示さなかった。2023年になってから上昇が始まり、2024年に顕著に上昇した。2024年の始めには49.1ドルだったものが、6月24日では126.4ドルになった。その結果、最初に述べたように、時価総額が世界のトップになったのだ。

6月末の時価総額では3.1兆ドルであり、マイクロソフト、アップルにつぐ第3位だが、これらの企業の時価総額はほぼ同額なので、エヌビディアが再びトップになる可能性もある。

エヌビディア、マイクロソフト、アップルの時価総額はそれぞれ3兆ドル強なので、1ドル=160円で換算すれば、ほぼ480兆円になる。

他方で、日本の東証プライム上場企業の時価総額合計は、1002兆円だ(2024年7月10日現在)。

だから、上記3社の一社の時価総額だけで、プライム上場企業全体の時価総額のほぼ半分になる。2社なら、プライム上場企業とほぼ同じになってしまう。

ついこの間まで、「GAFA+Mのうちの3社で、プライム全体と同じ」と思っていたのだが、気がついて見たら「2社だけで、プライム全体と同じ」になってしまった。

企業価値の大きさが、日本とアメリカで全く異次元のものになってしまった。アメリカの産業活動が日本と本質的に異なること分かる。

では、何が違うのか? 日本の企業活動を支えているのは、人々の共同作業だ。そこでは、勤勉さが基礎になっている。それに対して、アメリカの時価総額トップ企業の価値を支えるのは、「知力」だ。勤勉さや協調が重要でないというのではないが、経済的な価値からいえば、知力が比較にならないほどの価値を持つようになったのだ。