脱法行為?賃上げアイデア「残業時間は個人事業主に」 内閣府が表彰

AI要約

内閣府が政策コンテストで優勝アイデアとして表彰したのは、残業時間をすべての会社員を個人事業主にする提案だ。

この提案では、残業を副業に転換し、社員を個人事業主として働かせることで賃上げを実現しようとしている。

しかし、このスキームには脱法行為のリスクがあり、労働関連法の規制や過重労働の問題が潜んでいる。

脱法行為?賃上げアイデア「残業時間は個人事業主に」 内閣府が表彰

 残業時間はすべての会社員を個人事業主に――。こんな提案を内閣府が政策コンテストで優勝アイデアとして表彰したことがわかった。労働法規制や社会保険料の支払い義務を免れるための「脱法スキーム」を推奨しているともうけとられかねない内容だ。

 内閣府のホームページ(6月14日付)によると「賃上げを幅広く実現するための政策アイデアコンテスト」として、全職員を対象に募集。36件の応募があり、2件が優勝アイデアに選ばれた。

 その一つが「残業から副業へ。すべての会社員を個人事業主にする」。ホームページに掲載された資料によると、まず定時以降の残業を禁止。以前は残業でこなしていた業務を委託契約に切り替え、社員は残業していた時間は個人事業主として働くという。

 企業にとっては残業代や、それにひも付く社会保険料の支払いが減り、経費削減につながる。社員も社会保険料や所得税の支払いが減って収入アップになるとしている。

 ただ、このスキームは「脱法行為」とされるリスクがある。個人事業主かどうかは実際の働き方によって判断されるため、残業の時と同じように企業が指揮命令、拘束していれば、労働関連法の規制が及び、残業代や社会保険料の支払い義務が発生するからだ。また、本来なら通算するはずの労働時間がきちんと管理されなければ、過重労働に陥るリスクもある。