大阪でタクシー事業を展開していた「関西中央グループ」の茨木高槻交通(大阪)が破産

AI要約

茨木高槻交通(株)は、大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた。会社の経緯や問題点、関連するグループ会社の状況が述べられている。

新型コロナウイルス感染拡大による収入の激減や経営課題に直面しつつも、経営再建を図るものの、公租公課の滞納などの問題が浮かび上がり、再生手続き廃止決定を受けた。

関連する7社も破産手続き開始決定を受けており、関西中央交通(株)については自主再建の方向で再生手続きが進められている。

 茨木高槻交通(株)(TDB企業コード:580208595、資本金2000万円、大阪府茨木市中河原町4-1、代表薬師寺大思氏ほか1名)は、6月28日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人には石井教文弁護士(大阪西総合法律事務所、大阪府大阪市中央区高麗橋4-4-9淀屋橋ダイビル2階、電話06-6208-8771)が選任されている。

 当社は、1928年(昭和3年)創業、41年(昭和16年)10月に法人改組。大阪府北摂エリアを主要営業区域とするタクシー事業を手がけ、大阪府内においてタクシー業を展開する「関西中央グループ」に加入、2002年9月期には年収入高約83億8800万円を計上した。

 その後、グループ会社を営業区域ごとに設立するほか、高槻市での事業をグループ会社に譲渡するなど再編を実施。5000円超過分は5割引きになる遠距離割引(55割)を導入するなど、大阪都心部からの深夜帯の旅客需要を獲得し、JRや阪急電鉄の沿線各駅と公共交通アクセスの弱い住宅地や事務所、病院などを結び、市民の足としても重宝されていた。

 しかし、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請などの影響で収入が激減。2020年9月に法人向けの送迎などを行っていたバス事業を終了したことに加え、新型コロナの5類移行後もタクシー需要の回復は鈍く、2023年7月期(決算期変更)の年収入高は約5億3000万円にとどまっていた。また、燃料価格高騰による採算悪化のほか、ドライバーの高齢化といった経営課題にも直面。2024年問題に伴う人件費高騰が危惧されるなど、経営の抜本的再建を求められる状態が続くなか、2024年3月11日に民事再生法の適用を申請。同月25日に再生手続き開始決定を受けていた。

 その後、当社をはじめとするグループ各社の事業を他社に譲渡したものの、譲渡対価をもって滞納していた社会保険料などの公租公課を完納できず、4月30日に再生手続き廃止決定および保全管理命令を受けていたなか、今回の措置となった。

 負債は約62億6100万円、グループ8社で計約92億3100万円(いずれも2023年7月決算時点)。

 以下のグループ会社(7社)は、5月31日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けている。

・ユタカ中央交通(株)(TDB企業コード:582729377)

・関西中央第一(株)(TDB企業コード:582665565)

・大商交通(株)(TDB企業コード:584004806)

・東大阪中央タクシー(株)(TDB企業コード:582729368)

・関西中央旅客守口(株)(TDB企業コード:582662680)

・東大阪オーケー(株)(TDB企業コード:582755143)

・高槻交通(株)(TDB企業コード:582630158)

 なお、同時に民事再生法の適用を申請していた関西中央交通(株)(TDB企業コード:586734473)については、自主再建の方向で再生手続きが進められている。