NATO、中国はロシアの「決定的な支援者」-首脳宣言

AI要約

NATOは中国のウクライナ侵攻への支援を非難し、最も強い表現で声明を発表した。

米国は中国のロシア支援について加盟国に懸念を報告し、対中制裁の可能性も示唆されている。

欧州各国は、中国とロシアが攻撃用ドローンを開発しているとの報道から警戒を強めている。

(ブルームバーグ): 北大西洋条約機構(NATO)は10日夜、ロシアのウクライナ侵攻への中国の軍事支援に対し、これまでで最も強い表現での非難を含む首脳宣言を発表した。中国政府はウクライナでの戦争用に、攻撃用ドローンを開発している兆候がある。

3日間のNATO首脳会議の期間中に発表した宣言で、NATOは中国をロシアのウクライナ侵攻の「決定的な支援者」と表現した。声明には、ロシアの防衛部門への転用が可能な部品、機器、原材料といった中国からの物資の提供について、詳しく記載されている。

事情に詳しい複数の関係者によると、米国は首脳会議の前、NATO加盟国に対し、中ロ間で急速に深まる防衛協力関係への共通の懸念を固める取り組みの一環として、中国の対ロ支援について報告した。声明は、中国はサイバー活動や偽情報、対宇宙空間能力の開発などを通じて、「欧州・大西洋地域の安全保障に対するシステミックな脅威」だとしている。

ワシントンの在米中国大使館の刘鹏宇報道官は「ロシアとの通常の貿易は公正に行われている」と、電子メールで配布した声明でコメント。「中国は紛争当事者に武器を提供しておらず、軍民両用物資の輸出を厳密に管理している」と説明した。

米当局者は、中国が武器・大砲を直接提供することは控えていると話す。そのような提供が行われた場合、今までに例のないエスカレーションを示すものとなり、対中制裁などの一段と強力な措置の引き金となるのはほぼ確実だ。

とはいえ、中国とロシアの企業が、ウクライナで展開されているイラン製モデルに似た攻撃用ドローンを開発しているとブルームバーグが今月報じたこともあり、欧州各国は警戒を強めている。

NATOの動きは、中国がアジアだけでなく、ロシアへの支援を通じて欧州の安全保障をも脅かす存在であるという認識が、米国とその同盟国の間で強まっていることを示している。ここ数年、ドイツや英国、チェコ、リトアニアまで欧州の各政府が、中国に対する姿勢を硬化させてきた。