仏エルメスの5代目、庭師に相続させたかった資産2兆円の所在が不明

AI要約

エルメスの創業者一族であるピュエシュ氏の巨額資産に関する謎が解明された。庭師に相続を譲る計画が話題となったが、問題となっているのは約120億ユーロ相当のエルメス・インターナショナルの株だけである。

フランスの高級ブランドで知られるエルメスは人気のバッグやスカーフで世界的なラグジュアリーブランドとなっており、エルメス一族は約1550億ドルの純資産を持つヨーロッパでも最も裕福な一族である。

元財務アドバイザーへの訴えは裏付け不十分とされ、エルメス創業者一族の財産管理についての疑惑は晴れた。裁判所の決定によると、巨大な詐欺の証拠は見つからず、訴えは十分な根拠がないことが示された。

(ブルームバーグ): 仏高級ブランド、エルメスの創業者一族で相続人であるニコラ・ピュエシュ氏(81)は昨年、自分の遺産を庭師に相続させる計画が明らかになり、メディアや関係者に衝撃が走った。しかし庭師に譲ることができる資産は多くないのかもしれない。

ピュエシュ氏の巨額資産がどうなっているのかについては、長らく謎だった。同氏はかつて雇った財務アドバイザー(FA)が資産消失に関与したと訴えたが、スイスの裁判所は今月、裏付け不十分としてこの訴えを退けた。

ピュエシュ氏の弁護士が法廷で陳述したところによれば、同氏は問題となっている資産を今では保有していない。焦点となっているのは、創業者一族が支配するエルメス・インターナショナルの株式約600万株、額にして120億ユーロ(約2兆円)相当だ。1837年創業のエルメスは人気のバッグ「バーキン」やカラフルなスカーフで知られ、世界的なラグジュアリーブランドに成長。100人余りで構成するエルメス一族は、欧州で最も裕福な一族となった。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、一族合わせた純資産は約1550億ドル(約23兆9600億円)とされている。

ジュネーブの控訴裁判所が12日に下した判断は、ピュエシュ氏の元FA、エリック・フライモン氏がピュエシュ氏の資産管理を誤った証拠はないというものだった。またピュエシュ氏の保有株が売却された時期を含む20年余りにおいて、同氏がだまされていた証拠も認められなかった。

裁判所の文書は「原告が被害に遭ったとしている『巨大な詐欺』は発見されなかった」としており、訴えは明確さを欠いており、裏付けが十分ではないと続けている。

ピュエシュ氏の弁護士はコメントを控えた。フライモン氏側のヤニス・サッカス、ステファン・グロデッキ両弁護士は、裁判所の判断には原告に対する「厳しい表現」が含まれており、クライアントは満足していると述べた。訴訟についてはオンラインマガジンのゴッサムシティーが最初に報じた。