高校生の娘が私立大学への入学を希望しているのですが、うちは生活保護世帯です。生活保護を受けていても私立大学に入れますか?

AI要約

生活保護を受けながら大学に進学することは現行の制度では難しい。

世帯分離や奨学金制度の制約を乗り越えるため、生活保護世帯の子どもの進学支援策が必要。

生活保護世帯の進学支援策として、児童扶養手当や進学準備給付金がある。

高校生の娘が私立大学への入学を希望しているのですが、うちは生活保護世帯です。生活保護を受けていても私立大学に入れますか?

現行の生活保護制度では、生活保護を受けながら大学に進学することは認められていません。

大学等に進学するには、「世帯分離」し、保護の対象から外す必要があり、学費や生活費を自分で賄わなければなりません。このため、一般世帯の大学・短大進学率が61.1%(令和5年度)なのに対して、生活保護世帯出身の大学進学率は42.4%(令和4年4月時点)にとどまっています。

生活保護世帯の子どもが大学等に進学するための支援策について解説します。

世帯分離とは、同居している家族と住民票の世帯を分ける手続きをいいます。世帯分離すると生活保護世帯の対象から外れます(ただし同居の場合、住宅扶助は減額しない)。したがって、住宅費以外の自分の生活費や学費は、奨学金やアルバイト等で賄わなければなりません。

また、国民健康保険や国民年金(20歳以上)に加入する必要があります。ただし、前年の所得が一定以下の学生については、「国民年金保険料の学生納付特例制度」を利用できます。

私立大学等へ進学する場合、受験料、交通費、入学手続き時に納める初年度納付金、教科書・教材・パソコンの購入費や、転居する際には転居費用などさまざまな費用がかかります。

これらの費用については大学等の奨学金は利用できません。なぜなら、奨学金を受給できるのは進学後だからです。

これらの費用に備えて、高校生の時に、アルバイトをしてお金を貯めておくと良いでしょう。通常、アルバイトで得た収入は保護費から減額されますが、アルバイト収入を大学等の受験料や入学金等にあてる場合は収入として認定されない取り扱いになっています。ただし、高校生がアルバイトをするときは、ケースワーカーに必ず申告することが必要です。

支援策を2つ紹介します。

「児童扶養手当受給世帯相当または低所得子育て世帯(住民税非課税世帯)」かつ「自治体が実施するこどもの生活・学習支援事業に登録等しているこども」に関しては、大学等を受験する際に必要な費用(受験料)として、高校3年生に対して上限5万3000円、模試費用として高校3年生に対して上限8000円、中学3年生に対して上限6000円が支給されます(こども家庭庁事業)。

また、大学等に進学する生活保護世帯の人には「進学準備給付金」が支給されます(自宅生10 万円・自宅外生30 万円) 。ケースワーカーに相談してみましょう。