「渋沢栄一のイズム引き継く」「口座獲得競争、デジタルとリモート・リアル店舗の三位一体戦略を柱に」…みずほ銀行・加藤勝彦頭取

AI要約

渋沢栄一が新紙幣の顔になり、みずほ銀行の渋沢のイズムを受け継いだ経営理念について語る。

急激な円安に対する懸念や金利による影響、円高への期待について述べる。

金利競争が本格化する中、リテール戦略や顧客獲得に向けた取り組みについて明かす。

 新紙幣1万円の肖像となった渋沢栄一が設立した第一国立銀行が前身となるみずほ銀行。渋沢が目指した公益と私益の両立は経営理念になっているという。資産運用に注目が集まる中で、近くコンサルティングに特化した店舗を始める方針だ。加藤勝彦頭取に話を聞いた。(聞き手・佐藤寛之)

 ――渋沢栄一が新紙幣の顔になった。

 「(DNAを)受け継いでいる部分が大いにある。江戸から明治になった時に、日本に必要な企業を発展させることに力をいれた。スタートアップ(新興企業)をしっかり育てた。それが公益と私益の両立、正しく稼ぐことが必要だという、道徳経済の合一といえる。

 社会課題の解決こそが、経営課題につながっている。一つの事例で言えば、サステナビリティー(持続性)だ。関連する投融資について、2030年度までの累計で100兆円、水素は2兆円という形で示している。メッセージは顧客にも伝わると思うし、ビジネスパートナーとしての役割はみずほでしかできない。渋沢の思いやイズムは引き継がれていると思う」

 ――円安が与える事業への影響は。

 「急激な円安はよくない。もともとは円高をいかに防ぐかという考えだったので、1ドル=160円が適切かどうかは検証が必要だと思うが、急激な円安は避けるべきだと思う。見えているのは、半分くらいが金利差に相関関係があって、残り半分くらいが円の実需、あとは投機だとみている。

 米国でインフレ(物価上昇)が沈静化する傾向は見えており、日本も今年1回くらいの利上げを予想しているので、その部分では円高に振れるとみている。輸入企業を中心にコストアップにつながっており、円高に向かっていけばいいことではないかと思う」

 ――金利がある世界に戻り、口座獲得競争が本格化するのではないか。

 「私が入行した頃は金利が高く、インターネットバンクも存在しなかった。1回口座を作ってもらえば、メイン口座になるということが当たり前だった。24時間365日、金利選好で預金が動く中にいると、金利競争をする必要はないと思っている。保守本流のしっかりとメイン口座としてみずほを使ってもらえるようなリテール(個人向け)戦略をやっていく。結果として、預金が残っていくのが重要だ」