テレビ討論会後に露呈した民主党の「問題」、バイデン撤退は「ない」ワケとは

AI要約

2024年大統領選挙のバイデン対トランプ第1回テレビ討論が行われ、生中継視聴者数は前回より減少。バイデンによる撤退拒否で民主党内で意見割れ。

テレビ討論は選挙に注目を集め、有権者を引き付け、支持層を固める重要な機会。選挙準備が怠られず、両陣営が戦略を練る。

過去の例から、テレビ討論の勝敗は広告や支持基盤、政党結束などに影響。討論の重要性は依然高い。

テレビ討論会後に露呈した民主党の「問題」、バイデン撤退は「ない」ワケとは

 6月27日CNNで2024年大統領選挙のバイデン対トランプ第1回テレビ討論が行われた。米大統領選挙のテレビ討論は、選挙戦の華といわれてきた。両候補が大統領として世界とどう向き合うか、政策だけでなく、どんな人物なのかを実際に見比べる絶好の機会だからだ。今年の生中継視聴者数は、2020年第1回討論の7300万人(世帯視聴率4割)より減少し、推定5130万人が見た。選挙まで残り4カ月余、支持候補未定や変更の余地がある、投票意欲がわかないなどの「説得可能」者は有権者の3割近くいる。どちらの候補もイヤという有権者が少なくないなか、バイデンは後日討論会での劣勢を取るに足らないとして、撤退を拒否。不人気バイデン続行か否かで民主党内の意見は割れているが、今回の討論は、大統領選の今後をどう変えるのか。

 選挙情報源がテレビだけでなく多様化する今でも、テレビ討論は多くの視聴者を惹きつける(表1)。従来は、多くの人が選挙に注目し始める11月投票日前2カ月間に複数回行われてきたが、今年はすでに両党候補が事実上決まり、投票総数の2~3割に上る不在者投票を9月に開始する州があるため、異例の6月開催となった。

 テレビ討論は、有権者を選挙に注目させ、支持候補が未定または支持が不安定な「説得可能」層を引き寄せるとともに、ケネディらの第1回討論(注1)を例として、支持基盤や政党、資金提供者を一致結束させる最大の好機だ。ゆえに両陣営の戦略の粋を集め、準備も怠りない。

注1:1960年選挙のケネディの勝因は、テレビでの好印象によると言われることの方が多いが、真の勝因は民主党内部や資金提供者が、若く経験の浅いケネディの実力を再認識し、その擁立に自信を深めて一致団結したからである。またケネディ家の財力を駆使した大量のテレビ広告も、知名度上昇や好印象の定着を助けた。

 陣営間と主催者、テレビ局の間で交渉を重ね、時期や回数、討論形式や司会者、参加者資格、議論内容、カメラの映し方まで取り決める。通常、優位に立つ現職は討論会に消極的だ。実際2024年共和党予備選挙で圧倒的優位に立つトランプは、党内予備選の討論会に1度も参加していない。バイデンも、激戦州でラテン系や若者など民主党支持基盤のバイデン離れという“危機”がひっ迫するまでは、討論を拒んでいた。