【年金の見通しは5年前より改善も】65歳以上無職夫婦、毎月約4万円の赤字が続く…シニア世帯の平均貯蓄額・1ヵ月の生活費はいくらか

AI要約

厚生労働省が財政検証結果を発表。2024年の所得代替率は目標を上回る。

65歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は2504万円で、貯蓄額は増加傾向。有価証券を持つ人や投資への傾向が高まっている。

次章では勤労世帯も含む世帯の貯蓄額について考察する。

【年金の見通しは5年前より改善も】65歳以上無職夫婦、毎月約4万円の赤字が続く…シニア世帯の平均貯蓄額・1ヵ月の生活費はいくらか

厚生労働省は7月3日、5年に1度行われる年金制度の「財政検証」の結果を発表しました。

検証では、「所得代替率」という指標がひとつのポイントとなります。

これは夫婦の年金額が現役世代の男性の手取り収入の何%に相当するかを示すもので、政府はこれを将来も50%以上に維持することを目標としています。

2024年の所得代替率は61.2%となっており、目標水準はクリアという結果になりました。

また、厚生労働省は4つの経済前提で試算を行いましたが、「成長型経済移行・継続ケース」では2060年度の所得代替率は57.6%、現状の経済情勢が維持される「過去30年投影ケース」では50.4%と、政府目標をやや上回る結果でした。

しかしながら「過去30年投影ケース」では年金額が2割程度目減りすることとなるため、私たち自身もさまざまな経済情勢を想定して老後資産を確保しておく必要があります。

本記事では、2024年5月17日に公表された最新資料より、65歳以上の無職世帯の貯蓄事情とシニア世代の家計収支をご覧いただきます。ご自身の老後資金準備の参考にしてみてください。

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総務省の資料によると、65歳以上で無職の夫婦世帯の平均貯蓄額は2504万円でした。

平均貯蓄額の推移は以下の通りです。

●2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移

 ・2018年:2233万円

 ・2019年:2218万円

 ・2020年:2292万円

 ・2021年:2342万円

 ・2022年:2359万円

 ・2023年:2504万円

2018年から貯蓄額はゆるやかに増えてきており、2023年には過去最高額となりました。

2019年に「老後2000万円問題」が話題となり、老後に向けた貯蓄への意識が高まった結果とも考えられます。

最近では銀行預金以外の方法で貯蓄を貯める人も増えていますが、保有資産の内訳はどのようになっているでしょうか。

●保有資産の内訳

合計:2504万円

 ・有価証券:480万円

 ・生命保険など:413万円

 ・定期性預貯金:846万円

 ・通貨性預貯金:754万円

 ・金融機関外:11万円

有価証券が480万円となっており、前年比+80万円と大きく増加しています。

通貨性預貯金も754万円と前年比+55万円増加していますが、一方で定期性預貯金は846万円(前年比▲19万円)で減少しました。

NISAやiDeCoの認知率が高まってきたことを踏まえると、今後も貯蓄→投資への動きは加速していくと思われます。

ここまで無職世帯の貯蓄額をご紹介しましたが、次章では65歳以上の「勤労世帯も含む」世帯の貯蓄額についても考えてみたいと思います。