良好なグリーン経済投資、リターンはハイテク除く全セクター上回る

AI要約

グリーン経済関連企業の株価が過去10年で全セクターを上回る成長を示しており、地球温暖化ガス排出削減に貢献する製品やサービスが注目を集めている。

グリーン経済への投資機会は100兆ドル以上と見込まれており、金融機関もその潜在性を認識している。ただし、一部の課題や障壁も存在している。

グリーン経済関連企業は世界の上場企業の約8.6%を占め、持続可能な成長と収益拡大が期待されている。

(ブルームバーグ): 地球温暖化ガス排出削減に貢献する製品やサービスから収入を得ている企業を一つの産業グループと考えた場合、ここ10年の同グループの株価は、人工知能(AI)の躍進に支えられたテクノロジーを除き、全セクターを上回っている。

英ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のリポートによれば、いわゆるグリーン経済が過去10年にもたらしたリターンは198%。特にエネルギー管理・効率化に注力する企業の株価が上昇した。一方で「最も分かりやすい」再生可能エネルギー企業は「目立って伸び悩んでいる」という。

世界経済を化石燃料から低炭素エネルギー源に移行させるためには100兆ドル(約1京6100兆円)余りが必要とされ、多くの投資機会も期待されている。ただ、金融機関は民間資本の投入は妥当なリターンが得られる場合のみだと明確に示している。投資家の現在の注目はAIを駆使したテクノロジーブームに集まっているが、長期的にはグリーン転換は侮れない「一大勢力」だとLSEGは指摘する。

LSEGのサステナブル投資調査世界責任者ヤーコ・カローシー氏はインタビューで、「規模とパフォーマンス」両面で「これは唯一無二の投資機会だ」と述べた。

LSEGは世界1万9000社を超える企業を対象に、グリーン事業活動と収入の関わりを評価し、「グリーン経済」を定義している。調査によると、4000社以上が再生可能な発電から、バッテリーやリサイクル可能な素材の開発に必要な重要鉱物の採掘や加工まで、グリーン製品・サービスで収入を得ている。

この定義に基づけばグリーン経済関連銘柄の時価総額は現在7兆2000億ドル、この10年で毎年平均14%成長したことになる。4月現在、グリーン収入を得ている企業は世界の上場企業の約8.6%を占めている。

LSEGはグリーン対策によって企業の収益拡大を楽観視できる理由がある一方、見通しを曇らせ得る複数の「向かい風」も指摘している。特に太陽光発電といった分野での過剰生産能力や、再生可能エネルギー機器や電気自動車(EV)製造に関連する貿易障壁が挙げられる。