米中関係に改善の余地なし、台湾や南シナ海で対立-中国学会が懸念

AI要約

米中2国間関係が激動期にあり、長期的な関係改善に懐疑的な見方が広まっている。北京で開催されたフォーラムで、緊張が台湾や南シナ海の紛争にも波及する可能性が示唆された。

米中関係は米大統領選の影響も受け、トランプ前大統領とバイデン大統領の対中姿勢が注目されている。中国の行動や米国の貿易政策などが新たな緊張を生む中、関係が悪化する可能性が警告されている。

南シナ海問題が最も危険な要因として浮上し、中国とフィリピンの間での摩擦も激化。南沙諸島での衝突や中国海警局の行動が、地政学的なリスクを増大させている。

(ブルームバーグ): 11月の米大統領選を控え、中国の学会で米国との2国間関係が激動期にあるとの見方が強まっている。長期的な関係改善について懐疑的な考えすらある。

週末に北京で開催された清華大学主催のフォーラムでパネリストらは、米中間の緊張が台湾や南シナ海を巡る紛争でも高まり得ると述べた。

清華大学戦略・安全研究センターの達巍主任は7日、「2国間関係を安定させるのはもう限界かもしれない」と指摘。根本的な不信感が非常に強く、「もしこのままの軌道をたどれば、われわれは徐々に別の危機やある種の対立へと向かっていくことになると思う」と語った。

米大統領選を争うバイデン大統領とトランプ前大統領はいずれも、対中強硬姿勢を有権者にアピール。米国の雇用を守るとし、貿易関税の強化をちらつかせている。

バイデン大統領と中国の習近平国家主席が昨年11月にサンフランシスコ近郊で会談し、米中関係はいったん安定したが、南シナ海での中国の威嚇的な行動と、中国からの安価な輸出の急増が新たな緊張をもたらしている。

清華大学国際関係研究院の閻学通院長は先週、今回のフォーラムが始まる前の記者会見で、米大統領選のキャンペーンも一因となり「今から2025年前半にかけて、2国間関係は改善するよりも悪化する可能性の方が大きい」との予想を示した。

中国と米国は地政学やテクノロジー、貿易などの問題を巡り衝突を続けている。カーネギー国際平和財団のダグラス・パール研究員は、南シナ海が米中関係の最も危険な部分に変わるかもしれないと警告した。

中国とフィリピンは南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島付近で衝突。フィリピン軍西部方面隊のトーレス司令官によれば、南沙諸島アユンギン礁(英語名セカンド・トーマス礁)の軍事拠点に物資を補給していた先月中旬、中国海警局の職員が作業用のゴムボートに「不法」に乗り込み、ボートにあった銃器を押収・分解した。

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