プライベートクレジット、リスク負わないファンドにBISが懸念示す

AI要約

国際金融の監視機関であるBISが、プライベートクレジット市場の投資家のリスクに懸念を示している。

多くのファンドが自己資金の投入を避けている状況で、投資家よりも自らの利益を優先するリスクが存在している。

プライベートクレジットの取引量が急成長している中、バリュエーションの不安や規制当局の懸念が高まっている。

(ブルームバーグ): プライベートクレジット市場の投資家の「かなり大きな」リスクについて、国際金融の監視機関が懸念を示した。ファンドの約40%が自らリスクを負っていない状況が明らかになった。

国際決済銀行(BIS)が先週公表した年次経済報告によると、多くの運用主体が自己資金の投入を避け、「インセンティブのずれ」が生じている。業界プレーヤーが投資家のリターンより自分たちの利益を優先するリスクが存在する。

BISの推計によれば、金融危機をきっかけに銀行が特定の貸し付けから手を引いた後、プライベートクレジットは2兆1000億ドル(約338兆円)規模に急成長した。このセクターが伝統的な金融機関に与える影響を巡り、規制・監督当局は懸念を強めている。

バリュエーションの不安も高まっており、第三者機関の評価を用いて米証券取引委員会(SEC)にデータを報告しているプライベートクレジットファンドは全体の40%に過ぎない。

BISの報告によると、米国のプライベートクレジット取引量の約78%は、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社が保有する企業向けだ。欧州の規制・監督当局は、シャドーバンクの相互作用に関し透明性の改善を求める方針だ。

原題:Private Credit Funds With No Skin in Game a Worry: Credit Weekly(抜粋)

--取材協力:James Crombie、Kat Hidalgo、Laura Noonan、Guy Johnson、Dan Wilchins.

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