「金ジュエリー界のエルメス」、中国の老鋪黄金が上場

AI要約

中国のジュエリー企業、老鋪黄金(ラオプーゴールド)が香港市場に上場し、創業者の徐高明はビリオネアの仲間入りを果たした。同社は金ジュエリー界でニッチブランドとしての地位を確立しており、話題を集めている。

徐は漁業局に勤務していたが、小規模な土産物企業を立ち上げ、20年後の2016年にラオプーゴールドを設立。中国テンセントなどの投資家を引き付け、株価急騰で成功を収めている。

競合との差別化や原材料価格などの課題に直面しているが、独自のデザインと文化的要素に注力して成功を収めつつある。

「金ジュエリー界のエルメス」、中国の老鋪黄金が上場

中国のジュエリー企業、老鋪黄金(ラオプーゴールド)が先週、香港市場に上場し、同社の創業者で59歳の徐高明(シュウ・ガオミン)はビリオネアの仲間入りを果たした。1980年代に中国の地方の漁業局に勤務していた徐の保有資産は、フォーブスの推定で10億ドル(約1620億円)を突破した。

「金ジュエリー界のエルメス」と呼ばれるラオプーゴールドは、先週の新規株式公開(IPO)で7億8770万香港ドル(約163億円)を調達した後、株価は最大97.5%急騰した。

北京を拠点とするラオプーゴールドは、調達した資金をブランド認知度の向上と国際展開に使用すると述べている。同社のジュエリーは、ユニークな職人技や幸運と保護の象徴である瓢箪などの中国文化の要素を取り入れており、ブレスレットの一つは4万4680元(約99万円)で販売されている。

金の価格高騰により、一部の富裕層はラオプーゴールドの製品を投資先としている。同社の売上高は、2022年から2023年にかけて2倍以上の32億元(約707億円)に達し、利益はほぼ5倍の4億1630万元(約92億円)に跳ね上がった。

ラオプーゴールドの製品はアリババやJD.comのサイトにも掲載されているが、大部分は中国の14都市にある33の実店舗を通じて購入されている。

「ラオプーゴールドは、金をベースとしたジュエリー分野でニッチブランドとしての地位を確立している」と、上海の市場調査会社ミンテルの高級ファッションアナリストのブレア・チャンは述べている。

1964年に湖南省で生まれた徐は、地元メディアの報道によると、20歳のときに中国南東部の岳陽市の漁業局に就職した。彼は、市政府で10年以上勤務した後、1995年に観光客向けの土産物などを販売する小規模な企業を立ち上げたと地元メディアは報じている。彼はそれから約20年後の2016年にラオプーゴールドを設立した。

同社は以前、中国本土での上場を目指していたが、2021年と2022年の2度の試みは、実現しなかった。ラオプーゴールドは、香港での上場に際し、中国のテンセントなどの有力な投資家を引き付けた。

■課題は競合との差別化

しかし、同社は厳しい競争にも直面している。香港のビリオネアのヘンリー・チェンが運営するジュエリーブランドの周大福は、この分野のリーダーであり、若年層の消費者をトレンディなデザインで取り込もうとしていると、ミンテルのチャンは述べている。

広州のコンサルティング企業、iiMedia Researchの創業者であるチャン・イーは、ラオプーゴールドが直面する他の課題として、原材料と家賃の上昇が挙げられ、これらが利益を圧迫する可能性があると指摘している。さらに、金の価格が永遠に上昇し続けるわけではないため、将来的には消費者が同社のジュエリーを良い投資先とみなさなくなる可能性がある。

チャンは、ラオプーゴールドが消費者からの関心を維持するためには、独自のデザインに注力する必要があると述べている。彼は、同社の製品を骨董品になぞらえ、その価値を支えているのは文化的要素だと指摘した。

「これまでのところ、彼らの差別化戦略は非常に成功している」とチャンは語った。