繊維商社に必要な働き方改革

AI要約

「WWDJAPAN」の特集では、繊維商社における女性活躍と働き方改革に焦点を当てている。

過去の男性中心のイメージから、女性社員の採用が増えつつも管理職比率は低い現状が浮き彫りになっている。

成功例として伊藤忠商事を挙げ、働き方改革の重要性や取り組むべき課題について考察している。

繊維商社に必要な働き方改革

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月1日号からの抜粋です)

横山:2月19日号で採用活動の特集をしたときに、商社の新卒採用の半分くらいが女性だと知りました。体育会系で昼夜問わずバリバリ働く男社会の業種というイメージでしたが、最近取材をしに行くと、確かに総合職の女性が増えています。でも、上場している繊維商社の企業データを見ると女性管理職比率はすごく低くて。これはどういうことかと考えたのが、今回の特集のテーマ「女性発 繊維商社の『働き方改革』」です。2011年から毎年繊維商社の特集を担当していますが、知らないことも多いなと思いました。

林:私もかつて商社を取材していたときは、取材相手は男性ばかりでした。

横山:女性の採用が増えたことで、働き方も少しずつ変わっています。ただ、まだ仕事のやり方が男性的というか、例えば週の半分が出張だったりします。周囲の手厚いサポートがない限り、子育てしながらでは難しい。優秀な女性が出産を機に退社してしまっては、会社にとっても損失で、そこは大きな課題です。今どき「女性が」とかいうのは、ナンセンスだなとも思いましたが、もっと言っていかなくてはいけないと思いました。

伊藤忠商事の成功例にも学ぶべき

林:今回の特集でも5人の課長の仕事を取り上げていますが、かなりハードな仕事をしているのは間違いない。総合商社ではあるけれど、伊藤忠商事は2010年に岡藤(正広)さんが社長になり、13年から朝型フレックスを導入して、残業や夜の会食を控える働き方改革を他に先駆けて始めました。結果、女性が活躍する機会が増え、生産性も飛躍的に上がる好事例ができました。伊藤忠の社内の出生率が12年時点では0.6だったけれど、21年には1.97にまで上昇。日本の平均1.30よりも高い数値で、それに続けという機運があるよね。もちろん伊藤忠社員の年収がかなり高額という背景もあるけど。

横山:繊維商社はオーナー企業も多いし、トップと現場も近い。働き方改革もユニークでクイックな動きもできるのではないかと思います。ただ、商社はどうしても取引先に合わせなければならない業種。業界全体で取り組むべき課題でもあります。男性だって50代になれば親の介護など、いろいろと問題が出てきます。働き方のいいモデルケースを繊維商社が作れれば、それが業界の発展にもつながると思います。