米労働市場の勢い減退、ADPと失業保険データも裏付け

AI要約

米国の雇用関連統計は、労働市場が勢いを失いつつあることを示す新たな証拠となった。

ADPリサーチ・インスティテュートのデータや労働省の統計は、失業率の増加や再就職の困難さを明らかにしている。

米雇用統計の前触れとしての統計は、労働力に対する需要の低下と景気失速の可能性を示唆している。

(ブルームバーグ): 3日に発表された米国の2つの雇用関連統計は、米労働市場が勢いを失いつつあることを裏付ける新たな証拠となった。

ADPリサーチ・インスティテュートのデータは米民間雇用者数の増加ペースが6月に一段と減速したことを示した。また米労働省発表のデータによると、失業保険の継続受給者数が9週連続で増え、2018年以来の長期増加局面となった。再就職が一段と困難になっている状況が示唆された。

6月の米雇用統計に先立ち公表された2つの統計は労働力に対する需要の低下を表している。 米供給管理協会(ISM)が3日に発表した6月の非製造業総合景況指数はここ4年で最も速い活動縮小ペースを示唆。景気失速の新たな兆候となった。

ISMの同指数が利下げの必要性を裏付けたことから米国債利回りは低下し、株価は上昇した。

ADPのデータによると、6月の民間部門の雇用者数は15万人増加したが、これは主にレジャーや接客業での雇用増によるものだ。ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は発表文で「雇用の伸びは堅調だが、広範にわたっていない」とし、「レジャー・接客業での回復がなければ、6月は低調な月となっていただろう」と指摘した。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2日、ポルトガルのシントラで開かれた欧州中央銀行(ECB)主催フォーラムのパネル討論会で、米国の労働力需要と供給のバランスが改善の方向へ「大きく」動いたと指摘した。

米金融当局者は5日に発表される米雇用統計で労働市場の現状についてさらに詳しい情報を得ることになる。エコノミストは非農業者部門雇用者数が19万人増と、前月の27万2000人増から伸びが減速すると予想している。

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原題:US Job Market Shows More Signs of Slowing in ADP and Claims Data(抜粋)

--取材協力:Mark Niquette、Charles Ayitey.

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