【37年半ぶりの高値更新】再び「1ドル160円台」へ突入したが…国際金融アナリストが「近いうちに米ドル安・円高に向かう」と予想するワケ

AI要約

6月の米ドル/円は、1986年12月以来の水準まで上昇しました。

投機筋の米ドル買い・円売りが行き過ぎており、ポジション調整による米ドル安・円高の可能性もある。

「プラザ合意」による米ドル安・円高の流れが戻ってくる可能性がある。

【37年半ぶりの高値更新】再び「1ドル160円台」へ突入したが…国際金融アナリストが「近いうちに米ドル安・円高に向かう」と予想するワケ

4月末の高値の160円を更新し、1986年12月以来の水準まで上昇した「米ドル/円」。しかしながら、このままこの「歴史的円安」が進行するかについては、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は疑問を呈しています。今週の相場の展開予測とあわせて、詳しく見ていきましょう。

〈ポイント〉

・米ドル/円は、この間の高値の160円を更新、1986年12月以来の水準まで上昇。

・ただし、この米ドル高・円安の主導役である投機筋の米ドル買い・円売りも、あるデータでは、過去最高規模に拡大するなど「行き過ぎ」懸念が強くなっている可能性あり。

・投機筋の米ドル買い・円売り余力も限られ、日本の通貨当局の為替介入などのきっかけ次第では、ポジション調整から米ドル安・円高に戻す可能性もありそう。今月の米ドル/円は155~163円で予想。

6月の米ドル/円は、この間の高値「160円」を更新しました。これを受けて、1990年の高値も更新し、1986年12月以来、なんと約37年ぶりの高水準に達しました(図表1参照)。

1990年以前の米ドル/円の高値は、1985年のいわゆる「プラザ合意」を受け、米ドルの実質的な「切り下げ」が実施される前の250円程度になります。ということは、1990年の高値を更新したことで、米ドル/円は「250円」を目指す、新たな大幅上昇ステージに入ったということでしょうか?

ここで、「プラザ合意」について、少しだけ確認しておきます。1985年にかけて、当時の米レーガン政権の「強い米国」「強い米ドル」政策に伴う「ビナイン・ネグレクト(優雅なる黙認)」と呼ばれた、米ドル高放置政策のもと、極端に行き過ぎた米ドル高が広がりました。

しかし、米国における財政と経常の「双子の赤字」が拡大するなかで、そのような米ドル高の維持は困難となり、「G5」と呼ばれた、当時の先進5ヵ国の財務相と中央銀行総裁が、NYのプラザ・ホテルで秘密裏に会合し、米ドルの実質的な「大幅切り下げ」で緊急合意した―。それが「プラザ合意」でした。

米ドル/円はその後、2011年には、75円まで下落しました。その米ドル安・円高の流れの始まりが「プラザ合意」だった、というのが一般的な認識でしょう。その「プラザ円高」後の戻り安値が、1990年の160円だったわけです。それを更新したということは、「プラザ円高」の全値戻し、すなわち「250円」の米ドル高・円安へ戻る動きが始まったといった意味になるのでしょうか?