日本で販売予定はないのに異例の試乗会、中国・吉利汽車が自慢するHEV技術の現在地は

AI要約

中国の大手自動車メーカー「吉利汽車(ジーリー)」が2024年5月、日本でハイブリッド車2車種の試乗会を開催。日本市場での販売は未定だが、ジーリーは特にハイブリッド技術に注力しており、次世代エンジンの熱効率も高評価されている。

ジーリーは中国の民営自動車メーカーであり、1996年に設立され、ボルボ・カーズやロータス・カーズなどの海外ブランドを買収し成長。今回のイベントは中国メーカーによる日本での試乗会としては珍しいが、以前にも共同ブランド「Lynk & Co」が日本でイベントを開催した経験がある。

ボルボなど他のブランドと同様に、ジーリーも中国市場でPHEVやEREVなどの新エネルギー車の開発を進めており、CATARCからの高評価も受けている。中国メーカーのエンジン技術の進化に注目が集まっている。

日本で販売予定はないのに異例の試乗会、中国・吉利汽車が自慢するHEV技術の現在地は

中国の大手自動車メーカー「吉利汽車(以下、ジーリー)」が2024年5月、日本でハイブリッド車2車種の試乗会を開いた。中国メディアだけでなく、筆者を含む日本メディアも招いたイベントだったが、現時点では日本市場で販売する予定はないという。ジーリーがそこまでして日本で見せたかったものは何だったのか。

ジーリーは中国・浙江省に本拠地を置く民営の自動車メーカーで、1996年に設立された。 1998年8月8日に初の量産モデル「豪情」をラインオフさせ、2001年には正式に自動車メーカーとして認可を受け事業を拡大。2010年にはスウェーデンのボルボ・カーズ、2017年には英ロータス・カーズといった海外ブランドを次々と買収した。現在はグループ全体で年間279万台(2023年)を生産する一大自動車グループに成長している。

ジーリーは2024年5月、メディアやインフルエンサー向けの試乗会を茨城県の「筑波サーキット」などで開催した。中国メーカーが日本で試乗会を開くことは珍しいが、ジーリーには前例がある。ボルボとの共同ブランド「Lynk & Co(リンク・アンド・コー)」が2018年、初のセダン「03」を静岡県の「富士スピードウェイ」で発表したのだ。メディア関係者ら500名以上を招待し、煌びやかなブースでプレゼンテーションを行うなど、まるで巨大なパーティーのようだった。Lynk & Coのロゴが入ったヘリコプターまで飛行し、開催に数億円が投じられたとの噂もたった。

今回はそれほどの規模ではないが、2023年発売のハイブリッド2車種が用意された。セダンの「星瑞L」とスポーツ用多目的車(SUV)「星越L」だ。

実は、ジーリーは中国メーカーの中でも特にハイブリッド技術の開発に力を注ぐメーカーだ。中国市場では現在、バッテリー電気自動車(BEV)が下火傾向にあり、メーカー各社はエンジンを搭載し、かつ充電も可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)や、レンジエクステンダー付EV(EREV)の開発を推進している。これら車種は中国で「新エネルギー車(新能源車)」と分類され、大都市部でのナンバープレート発給規制や通行規制から除外されるほか、税制優遇などの恩恵を受けられる

中国で自動車技術の認証や適合を所轄する国有資産企業「中国自動車技術研究センター有限公司(CATARC)」は、ジーリーが2025年上半期に発売する予定の次世代エンジンは熱効率46.1%を達成したと認定している。現在の一般的なエンジンの熱効率は40%強だ。近年の中国メーカー製エンジンの進化には目を見張るものがある。