スバル レオーネクーペ 1400RX(昭和47/1972年12月発売・A22型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト073】

AI要約

スバル レオーネクーペ 1400RXは、水平対向エンジンを搭載したスポーツモデルで、スバルの若者向け車として登場した。

エンジンは水平対向4気筒OHVで、高い出力とトルクを誇り、特徴的なボクサーサウンドを持っていた。

操縦性に優れ、高速走行やモータースポーツで活躍したモデルであり、排出ガス対策も進化を遂げていた。

スバル レオーネクーペ 1400RX(昭和47/1972年12月発売・A22型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト073】

この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第73回目は、水平対向エンジン搭載のスポーツモデルとして話題を呼んだ、スバル レオーネクーペ 1400RXの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

昭和33(1958)年、軽自動車の革命とも言われたスバル360の発売以来、高度な技術力を売り物にしてきた富土重工業(現・SUBARU)は、水平対向エンジンを搭載したFF車であるスバル1000、ff-1に代わるモデルとしてレオーネを送り出した。昭和46(1971)年10月のことだ。

デビュー当初はロングノーズ&コークボトルラインの 2ドアクーペのみだったが、翌昭47(1972)年2月にサッシュレスドアを採用した4ドアセダンを追加している。レオーネは富士重工業としては久々の若者をターゲットにしたモデルで、その頂点に立ったのがGSRグレードを徹底的にチューニングしたハードパンチャー、クーペ1400RXだ。発売は昭和47(1972)年12月である。

スタイリングはスバル1000、ff-1と比べるとスポーティさを前面に押し出して現代的なものとなった。ただ必ずしも洗練されたものとは言い難く、好みが分かれるものになったのは事実だ。インテリアはブラソク基調でインパネには3連メーターを備えるなど若者向けを主張するものとなっていた。

エンジンはGSRと同じEA63S型水平対向4気筒OHVを積み、2バレルツインキャブと100の高圧縮比によって93ps/ 6800rpmの最高出力と11.0kgm/ 4800rpmの最大トルクを発生する。

排気量は1361ccだ。独特のボクサーサウンドとスムーズな吹け上がりを身上とし、高回転域の伸びもシャープであった。この辺はスバルファンを満足させるものだ。

もちろん伝統を引き継ぎエンジン、トランスミッションも縦置きする。当然、駆動方式はFFを継承した。そしてこの構成自体が国産車初の乗用車型4WDにもつながっていく。

レオーネ4WDは、4ドアセダン(昭和 47年2月)と同時に発売されたエステートバンから登場し、セダンヘの採用は昭和50(1975)年からとなる。レオーネクーペ1400RXに話を戻すと、トランスミッ ションは5速MTでエンジンのパワーバンドを有効に使えるクロスレシオとしている。この辺もマニアうけする部分と言える。最高速170km/hをマークした。

1400RXのエンジンは昭和48(1973)年9月までは有鉛ハイオクガソリン指定、10月以降は無鉛レギュラー指定となっているが性能は同じとなっている。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションバースプリングと組み合わせたセミトレーリングアームという構成の4輪独立式とした。この組み合わせは当時のサスペンションとしてはヘビーデューティというよりは高級車向けとも言えるものだが、 1400RXではスプリングとショックアブソーバーなどでハ一ドに固められた。

ブレーキシステムも、国産車ではトヨタ2000GTに続いて4輪ディスクを奢った。この辺のこだわりも技術力を売りにしたスバルならではのものと言えるだろう。有名な話ではあるがサイドブレーキは前輪に効くものとなっていた。これはパーキングブレーキは駆動輪に掛けるという考えから採用されたものと言われる。

この構造からリアタイアをロックさせるサイドブレーキターンはできない。ただ、降雪路などの滑りやすい路面ではフロントのサイドブレーキを用いることにより、現在でいうブレーキLSDのような効果をもたらすことができ、使い方によっては有用なものとなった。

操縦性は現在も続く水平対向エンジンの低重心とシンメトリカルを生かしたものでFFとしては優れたものとなっていた。ラリーを中心にモータースポーツフィールドでも活躍することになる。

画像: プラックトーンでまとめられたコクピットは丸型3連メーターを装備するRX専用デザインが採用されていた。ステアリングホイールは4本スポークだ。

当時の自動車メーカーを悩ませた排出ガス対策だが、昭和50(1975)年10月にはNOx(窒素炭化物)の濃度をエンジン本体で解決する排出ガス浄化装置のSEEC-Tを採用した1595ccのEA71型エンジンに換装した1600RXを投入。これで51年排出ガス対策をクリアした。同グレードは95ps/6400rpm、12.3kgm/ 4000rpmと従来モデルを超えるパワーを

実現した。