街の問題を市民投稿→行政対応 広まる「専用アプリ」、災害活用でも期待

AI要約

市民が街中で見つけた問題を行政に直接報告できるアプリの利用が広がっている。

アプリ「My City Report(MCR)」は公共施設やインフラの不具合を報告するための便利なツールとして都市部で利用されている。

千葉市を始めとする地域ではアプリが導入され、迅速な対応や問題解決に役立っている。

街の問題を市民投稿→行政対応 広まる「専用アプリ」、災害活用でも期待

道路のひび割れやカーブミラーの曲がり、公園の遊具の損壊…。住民が街中で見つけた問題を、行政に直接報告できるアプリの利用が広がっている。元々は10年前に千葉市で始まったサービスだが、現在では改良を経て3都県と27市区村で導入されている。通常時の利用だけでなく、地震などの災害発生時のインフラ復旧などでの活用にも期待が寄せられている。

■迅速対応可能に

アプリは「My City Report(MCR)」。市民が見つけた公共施設・インフラの不具合や改善の要望を、写真、位置情報とともに送信する。内容はインターネットのクラウド上で共有され、行政機関の担当者は管理画面で内容を確認、対応に当たる。

利用は無料で、対象自治体の住民ではなくてもスマートフォンなどにアプリをダウンロードしていれば、誰でも報告が可能。画面の地図上に「受付済」「対応中」などと色分けされたアイコンが表示され、時間や写真などの報告内容や対応状況も確認できる。

東京都品川区では、令和4年度からMCRを本格導入。道路の不具合・損傷などの指摘は月平均で約80件寄せられるといい「電話での連絡の場合、状況や場所を詳しく聞き取らなくてはならない。職員が直接現場を確認する必要もあり、報告者に対処方針を伝えるまでに平均約2時間かかっていた」(担当者)。

だがMCRの導入後は、位置情報や写真が添付されることから現地確認の手間が省けるなど、迅速な対応が可能となった。今では全体の2割ほどがMCRでの連絡で、住民側からも「手軽に都合の良い時間に投稿でき、要望を伝えやすくなった」と好評という。

■千葉市で先行

MCRの元になったのは、平成26年9月に千葉市が始めた「ちばレポ」というICT(情報通信技術)を使ったサービスだ。同市では当時、下水道や道路などの老朽化が問題となり始めており、こうしたインフラの不具合の発見・解決に際し、市民の協力を呼びかけるのが目的だった。

イギリスのNPO団体が作成したサービスを参考に、米マイクロソフト社の協力を得てサービスの提供を開始すると、利用者は順調に増加。同様の仕組みを全国の自治体で利用できるようにしようと、総務省所管の国立研究開発法人「情報通信研究機構」や東京大、自治体などが加わった共同事業体(コンソーシアム)が設立され、MCRの提供が始まった。