S&P500、年末までに23%下落へ-JPモルガンのコラノビッチ氏

AI要約
S&P500種株価指数が過去最高値を更新する可能性と、JPモルガンのチーフ・マーケット・ストラテジストが景気減速や企業利益見通しの下方修正により株価指数が勢いを失う可能性を指摘。JPモルガンのチームはS&P500種が年末までに下落すると予想し、ウォール街の他の専門家の予想よりも低い目標値を示唆している。コラノビッチ氏は成長の減速やインフレの上昇、利下げ回数の少なさなどを根拠に、株価バリュエーションに疑問を投げかけている。

(ブルームバーグ): S&P500種株価指数は、過去最高値を再び更新するかもしれないが、JPモルガン・チェースのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏は、景気減速や企業利益見通しの下方修正など逆風が強まることで、同指数が今後数カ月で勢いを失うと予想する。

コラノビッチ氏率いるチームは28日、半期見通しでS&P500種が年末までに4200まで下落すると予想した。これは27日終値を約23%下回る水準。注目されていた米インフレ指標で物価の落ち着きが示唆されたことを受け、同指数は28日、一時5500台に乗せた。

ウォール街の他の専門家が株価急伸に追随して予想を引き上げる中、コラノビッチ氏は今年これまで見方を変えていない。JPモルガンの目標値は、ブルームバーグがフォローするストラテジストの中で最も低い。年末の平均予想は5317と約3%の下落を示唆する。

「米国株のバリュエーション高騰と景気サイクルには明らかな乖離(かいり)がある」とコラノビッチ氏らは指摘。成長予測が下向きにあることを踏まえると、S&P500種の年初来の15%上昇は正当化できないと付け加えた。「今後数四半期は、成長が減速し、インフレが高まり、長期金利が大幅に低下しないという、期待とは逆の展開になるリスクがある」とした。

コラノビッチ氏の予測は外れることもある。2022年にS&P500種が19%下落した際に強気の見通しを維持。23年に同指数が24%上昇した際には弱気の見方を堅持していた。同氏は、主要な経済指標が停滞し、消費者に苦境の兆しが見られることを挙げ、株式市場に対する楽観的な見方を疑問視している。

さらに、連邦準備制度の利下げ回数が市場の予想よりも少ない可能性があり、下期の経済と株価バリュエーションの重しとなると指摘した。

同氏は、公益事業や生活必需品、ヘルスケア、配当株といった「反モメンタム」のディフェンシブ銘柄へのバリュー投資を増やすことで分散投資するよう投資家に推奨している。