【高齢者がひとりで生きる準備】“SOS発信”のための見守りサービス 自治体が無償で提供するサービスも

AI要約

高齢者のひとり暮らしで起こり得る緊急事態への備えが重要である。事前にSOS発信の環境を整えることや民間の見守りサービスを利用することが命を守る鍵となる。

家族や親しい人に鍵や連絡先を預け、緊急時の対応を考えることが必要である。特に冬場やお風呂での事故に注意が必要である。

民間警備会社や自治体が提供する見守りサービスを利用することで、緊急時の対応がスムーズになる。緊急時の対応は事前に準備しておくことが重要である。

【高齢者がひとりで生きる準備】“SOS発信”のための見守りサービス 自治体が無償で提供するサービスも

 配偶者に先立たれ、子供たちも独立した──その結果、ひとり暮らしをすることになる高齢者も少なくないだろう。ひとり暮らしになれば、病気やケガ、突発的なアクシデントで体が動かなくなった時の不安が付きまとう。FPで介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏が言う。

「お風呂で体調を崩して倒れたまま、誰にも発見されず亡くなるケースは珍しくありません。ベッドから転落し壁に挟まれ身動きが取れず、翌日親族に見つかるまで『呼吸が苦しいまま、なすすべがなかった』という話も聞きました。

 最悪の事態が起きてからでは遅いので、あらかじめ『病に倒れた自分』を想定し、速やかに駆けつけてくれる人に『SOS』発信できる環境を今から整えておくことが望ましい」

 2008年に妻の恵子さんを食道がんで亡くした評論家の川本三郎氏(79)氏もこう語る。

「この歳でひとり暮らしをしていると、特に冬場は、お風呂での事故が怖い。倒れたら誰も気付かないでしょう。もし連絡が取れなくなった時は『緊急事態が起きたと考えてくれ』と、親しい編集者に駆け付けてもらえるよう、自宅の合鍵を渡しました」

 そうした状況を先回りして準備しておくことが、命をつなぐ重要な鍵となる。

 民間警備会社では、宅内に設置したセンサーで、冷蔵庫の開閉など日常的な動作がない場合、異変を察知して警備員が駆け付けるサービスを提供しており、加入者が増えているという。

 いざとなれば「スマホで助けを求められる」と考える人も少なくないが、こんなケースもある。

「都内の実家でひとり暮らしする70代の母が自宅で倒れていたところをヘルパーさんが発見、救急搬送されたことがありました。母は糖尿の持病があり、近ごろ、急な目まいで転倒することがたびたびあったようです。

 何かあった時は、簡単な操作で緊急通報できるようスマホを設定していましたが、テーブルの上に置いてあったために手が届かず、助けを求められなかった。発見が早く大事には至りませんでしたが、想定外の事態でした」(40代男性)

 警備会社など民間の「見守りサービス」を受けるには、初期費用のほか月数千円の費用がかかるが、同様の独居世帯向けサービスを提供している自治体も多い。

「緊急時にボタンを押すと、通信センターにSOS発信されるペンダント型の器具を貸し出す自治体もあります。状況に応じ、警備員の出動や119番通報が行なわれるので、常に身に着けておけば不測の事態を回避できる可能性が高まります。

 夫婦でいるうちから民間サービスを受けている方もいますし、ひとりになった時点でサービスを受けられるように準備を進めるのもいい。繰り返しになりますが、命に関わる問題なので万一の事態が起きてからでは遅いのです」(太田氏)

 自治体によっては無償でサービスを受けられることもあるので、チェックしておこう。