ドイツ首相の姿勢にEU首脳がいら立ち、防衛強化の共同支出増に抵抗

AI要約

ドイツのショルツ首相は、EU首脳会議で共同防衛支出に反対し、資金調達の選択肢を前進させるのを阻止した。

加盟国首脳は、EUの優先課題を確認したが、ドイツ首相は共同支出増加に反対し、防衛費調達について異論を唱えた。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、防衛分野に5000億ユーロの追加投資が必要と述べた。

ドイツ首相の姿勢にEU首脳がいら立ち、防衛強化の共同支出増に抵抗

(ブルームバーグ): ドイツのショルツ首相は27日、ブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)首脳会議で、域内の軍事能力を高めるための追加資源が必要だとする他の加盟国首脳を押し切り、共同防衛支出に関する文言を声明から削除するよう主張した。

今回の首脳会議で、加盟国首脳は今後5年間のEUの戦略的優先課題を確認し、合意した。だが、ショルツ氏は、国内予算が厳しい状況下でEUの能力不足を補うための共同支出増加に反対した。

「懸念がひとつある」とショルツ氏は会議後、記者団に語った。「防衛費調達のためにいわゆるユーロ債を発行することを受け入れるべきか?答えはノーだ。各国の国防予算をEU予算から補充するよう提案するか?答えはノーだ」。

議論の様子を知る関係者によると、ロシアのウクライナ侵攻のさなか、ドイツが防衛力増強の規模拡大や加速方法を議論するより、資金調達の選択肢を前進させるのを阻止したことに、一部の首脳は困惑していたという。白熱した協議の中、ロシアのプーチン大統領またはウクライナのゼレンスキー大統領がその場にいてEUが防衛費を増やすべきかという議論を耳にすることがなくてよかった、とデンマークやポーランドの首相らが発言する場面もあった。非公開の議論のため、関係者が匿名で明かした。

ショルツ首相は、オランダのルッテ首相と共に、他の選択肢が出尽くす前に、共同債を含めたEUの追加資金支出を検討することに反対している。

北大西洋条約機構(NATO)の次期事務総長に就任予定のルッテ氏が、防衛費のための資金調達プロセスを遅らせようとするのは衝撃的だとEUのある外交官は話す。だが、オランダ政府は、EUの資金を使う前に、明確なニーズ評価、防衛のための域内市場や調達の改善、民間資本へのアクセスの促進をするべきだとの立場だ。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は会議後、EUは今後10年間で防衛分野に5000億ユーロ(約86兆円)の追加投資が必要と述べた。