フランス企業、ジャンク債発行を急ぐ-選挙後の市場混乱を警戒

AI要約

フランス企業は、国民議会選挙の第1回投票後に市場が荒れる可能性を見据え、資金調達を急いでいる。

マクロン大統領の予想外の議会解散・総選挙発表で信用リスク上昇後、企業はチャンスを生かす動きを見せている。

選挙後の新政府が経済政策を変更する可能性に備えつつ、企業は債務増加リスクに対処している。

(ブルームバーグ): フランス企業は、今週末に行われる国民議会選挙の第1回投票後に市場が荒れる可能性を見据え、資金調達を急いでいる。

マクロン大統領が予想外の議会解散・総選挙を発表した後に急上昇した信用リスクの指標はここ数日に低下。企業にとって生まれた短いチャンスを、自動車メーカーのルノーや冷凍食品のピカールなどが生かそうとしている。

世論調査では、極右の「国民連合(RN)」と左派連合がマクロン氏政党をリードしている。選挙後の新政府が経済政策を劇的に変更して債務が急増する可能性に投資家は備えつつある。このリスクが警戒され、フランス債の上乗せ利回り(スプレッド)は10年ぶりの大きさに既に拡大した。

シュローダーのハイイールドポートフォリオマネジャー、ヒューゴ・スクワイア氏は「一部のフランス発行体は安全策をとって選挙前に起債を完了させたいと考えている」と説明。「全くの最悪シナリオでは、フランス企業は数週間にわたり市場から締め出される可能性がある」と述べた。

ピカールは12億2500万ユーロ(約2100億円)のハイイールド債発行を目指す。仮条件の利率は6%台後半で、既存の2026年償還債のほぼ倍に相当する。ルノーの金融子会社RCIバンクのティア2債の募集には22億ユーロを超える注文が集まり、需要があることを示した。コンテナ輸送海運会社CMA・CGMも4億ユーロの調達を模索している。

欧州のジャンク(投資不適格)級企業の信用リスクを反映するiTraxxクロスオーバー指数は、今月の上昇が年初来で最大となる見通しで、これらの社債発行は地合いがどれだけ弱いかを測る試金石になる。フランス企業は欧州のジャンク級社債市場で並外れた存在感があることからも、発行状況は注目される。ブルームバーグの指数によると、欧州ハイイールド債の約20%をフランスが占め、1国の比率として最も高い。

ネハ・コーダ氏らバンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストは、「選挙リスクが増す中で、今後2週間の欧州クレジットスプレッド全体の方向性をフランスが主導する可能性が高い」との見方を示した。