万博協会、海外パビリオン遅れに現実的な対応できるか タイプ変更に課題 国際会議閉幕

AI要約

2025年大阪・関西万博の参加国を集め、日本国際博覧会協会が奈良市で開いていた国際会議が26日、閉幕した。工期短縮のための「タイプX」への移行が進まず、建設遅れが深刻化していることが課題となっている。

海外パビリオンの建設遅れや準備が遅れている国が続出し、欧州関係者も批判的な意見を述べている。博覧会のスケジュールが逼迫しており、迅速な対応が求められている。

万博協会は建設が遅れている国に対し、他のタイプへの移行や敷地の返却を提案しているが、一部の国からは準備時間不足への懸念が示されている。

万博協会、海外パビリオン遅れに現実的な対応できるか タイプ変更に課題 国際会議閉幕

2025年大阪・関西万博の参加国を集め、日本国際博覧会協会が奈良市で開いていた国際会議が26日、閉幕した。深刻化する海外パビリオンの建設遅れなどに関し、協会は各国と協議。工期短縮のために協会が提案している簡易型の「タイプX」への移行も進んでおらず、協会は開幕までの10カ月弱で現実的な対応を迫られている。

「IPMはカオス(混沌)だ。多くのトピックが十分に整理されないまま話されている」。会議に参加した欧州の関係者はこう述べ、海外館の建設遅れを始めとした万博協会の対応を批判した。

自前で設計・建設する「タイプA」は当初60カ国が希望していたが、19日時点で51カ国まで減少。建設業者が見つかった40カ国の中でも8カ国が未着工となっている。

協会は準備が遅れている国にタイプの変更を促してきたが、建設中のX(9棟)に入ることを正式に決めたのは3カ国にとどまる。Xの建設費用が回収できないことなどで最大77億円の追加費用が生じる見通しだ。

会議では、建設が遅れる国と協会が別タイプへの移行について個別に協議。協会は海外館の外観工事の終了めどを10月中旬とするが、参加国から「工期を延ばしてほしい」との声もあがった。

建設遅れ問題に対応するため、協会は24日に、準備に関する相談に一括して対応する施設を大阪市内に開設しており、積極的な活用を求めた。

協会は来年4月の開幕までに完成できないと判断される国に対し、敷地を返却させる方針。タイプAを予定する欧州のある国の関係者は「準備時間が短く、大きな問題が発生すれば余裕がなくなる」と危機感を示した。

閉幕後の会見で協会の石毛博行事務総長は「(パビリオンのタイプで)優劣をつけて、『Aから脱落した』というのは誤り」と強調。博覧会国際事務局(BIE)のケルケンツェス事務局長も「パビリオンの広さではなく、コンテンツこそが重要だ」と語った。(井上浩平、黒川信雄、清水更沙)