ラーメン業界“閉店ラッシュ”の中で店舗を増やし続ける「丸源ラーメン」。圧倒的な成長を可能にした強みとは

AI要約

コロナが収束し人流が復活したが、物価高・エネルギーコストの上昇などでラーメン店の倒産が増加している。2023年には過去15年間で最多の倒産件数が記録された。

ラーメン市場は6000億円市場であり、需要は増加傾向にあるものの、競合が激化し競争が激しい状況である。一方、丸源ラーメンは物語コーポレーションの傘下で、店舗数を前年比2桁成長させており、成長戦略を展開中。

丸源ラーメンは焼肉きんぐに次ぐ成長分野であり、良質なラーメンを提供している。売上も好調で前年比2桁成長している。

ラーメン業界“閉店ラッシュ”の中で店舗を増やし続ける「丸源ラーメン」。圧倒的な成長を可能にした強みとは

 コロナが収束し人流が復活したのに、物価高・エネルギーコストなどあらゆるコストの上昇などで、ラーメン店の倒産が増えている。東京商工リサーチの調査によれば、2023年度に倒産したラーメン店の件数は過去15年間で最多だ。

  ラーメン市場(2023年)は6000億円市場と推計され、回転寿司市場(7350億円)を下回るが、多くの人に好まれる国民食であり、今後も増加傾向が続くと推計される。だが、一方で、需要の割に競合店が多く、競争が激しくなっている。資本力があり、合理的な仕組みを確立して「ラーメンの壁1000円」を払拭するラーメンチェーンに、資本力が脆弱な小規模個人店が立ち向かうのは、難しいのが実情だ。

 

 この厳しい環境下で店舗数を年々増やしており、現在(2024年6月)で全国211店舗を展開しているのが「丸源ラーメン」(物語コーポレーション)だ。店舗数の伸びが鈍化しているラーメンチェーン店の中で店舗数が前年比2桁成長と、群を抜いている。

 たまに、出店数の急速な増加は、資金繰りに苦しむ企業が、最後の手段で講じるオープン景気の現金回収を目的にするケースもあるが、自己資本比率がほぼ50%と、財務基盤が盤石な物語コーポレーションの傘下だから問題はなく、中長期視野に基づく成長戦略の一環で攻めの出店である。

 丸源ラーメンは、物語コーポレーションのコア事業である焼肉きんぐに次ぐ成長分野のラーメン部門で、焼肉きんぐに次ぐ店舗数を誇っている。この店のラーメンは標準化が普通のチェーン店でありながら、筆者の周囲でも「無難な味とは一線を画したラーメン」だと美味しさを評価されている。

 ラーメン部門の店舗数は211店舗あり、そのうちフランチャイズは100店舗以上ある。コア事業であり焼肉業界No.1の称号を持つ「焼肉きんぐ」のブランドを、最大限に活用しながら、丸源ラーメンの認知度を高めている。

 業績を見てみよう。物語コーポレーションは部門別の売上を公表していないため、前年比で丸源ラーメンの成長率を記載すると、売上は好調を維持しており、前年比2桁成長である。

2023年6月期決算:売上123.7%、客数118.6%、客単価104.3%

2023年7月~2024年3月決算:売上112.6%、客数107.8%、客単価104.5%