「トヨタは大丈夫か」株主指摘、佐藤恒治社長は具体策踏み込まず…「ガバナンス不全では」の追及も

AI要約

トヨタ自動車は株主総会で認証不正の問題を謝罪し、豊田章男会長の再任案が提出された。

内部統制の強化や先行き不安についての株主からの声が挙がり、営業利益5兆円超の達成も報告された。

外国人投資家などからの厳しい視点や再任に対する反対意見もあり、再任の可否は注目されている。

 トヨタ自動車は18日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開き、豊田章男会長ら取締役10人の選任案が承認された。量産に必要な型式指定の認証不正を巡っては、株主から内部統制の強化を求める声や先行きを不安視する意見が出た。

 総会の冒頭で佐藤恒治社長は、「認証問題でご迷惑をおかけし、心よりおわび申し上げる」と陳謝した。また、「豊田章男会長が現場に根ざした改革に取り組んでおり、私も再発防止に取り組む」と述べた。

 認証不正の発覚で、ヤリスクロスとカローラフィールダー、カローラアクシオの3車種の生産が停止し、期間は7月末まで延長された。質疑では、「トヨタは大丈夫か」と株主に指摘された。佐藤氏は、「言いたいことを言い、正しい仕事が手順通りにできる環境にする」と述べたが、具体策には踏み込まなかった。

 別の株主は、「ガバナンス不全ではないか。モータースポーツに時間を使いすぎ、会長の道楽になっていないか」と追及した。豊田氏は、「私は相談に乗り、執行メンバーが決めて実行する。それが院政というのであれば、喜んで院政をしく」と答えていた。

 トヨタは、2024年3月期連結決算で、本業のもうけを示す営業利益が日本企業で初めて5兆円を超えた。総会には、前年より2割多い約4700人が出席したが、全株主の4分の1を占める外国人投資家の目線は厳しい。

 米議決権行使助言会社2社は事前に、豊田氏の再任に反対を推奨した。機関投資家では、米最大の公的年金基金として知られる米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)が豊田氏ら取締役7人の選任に反対票を投じたことを明らかにしている。

 議案の賛成率は19日に公表される。豊田氏の再任は8割超だった昨年を下回る可能性もある。