北越コーポに社長解任、京成にディズニー株売却を提案 物言う株主と企業の攻防激化

AI要約

アクティビストの動きが活発化している株主総会シーズン。投資ファンドが企業価値向上を求めて経営改善要求を強めている。

オアシス・マネジメントやパリサー・キャピタルなどが様々な企業に対し、株主還元や経営刷新を提案。企業との攻防が激化している。

株主総会での株主の動向や投資ファンドの提案が注目されており、各社の方針や対立が明らかになる中、経営改善や企業価値向上をめざす姿勢が強調されている。

北越コーポに社長解任、京成にディズニー株売却を提案 物言う株主と企業の攻防激化

株主総会シーズンとなり、今年もアクティビスト(物言う株主)の動きが活発化している。投資ファンドが経営体制の刷新や保有株の削減、株主還元など企業価値向上を求める声を強めており、上場企業との攻防が激しさを増している。

「ガバナンス(企業統治)が弱く、業績が標準以下なら説明責任を問わないといけない。レベルの低いマネジメントを続けさせてはいけない」

香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントのセス・フィッシャー最高投資責任者は5月20日に東京都内で開いた説明会で、株式を保有する製紙大手の北越コーポレーションとゼネコン準大手の熊谷組の経営姿勢について、こう批判した。

北越コーポには資本提携する大王製紙と相乗効果が生み出せていないとして、岸本晢夫(せきお)社長の解任を求めている。それに対し、北越コーポは解任反対を表明している。

北越株の約21%を握る大王海運も解任案に賛同する姿勢を示している。両社で約4割の株式を持っており、27日の株主総会で、他の株主の動向が焦点となっている。

オアシスは昨年6月にドラッグストア大手のツルハHDの創業家支配を問題視し、取締役の刷新を求めた。総会で否決されたが、その後、イオン傘下のウエルシアHDとの経営統合につながり、存在感を高めている。

一方、英投資ファンドのパリサー・キャピタルは京成電鉄に対し、同社が持つ東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)の株式の一部売却を提案している。

パリサーは27日の京成電鉄の株主総会で、OLC株の保有割合を現在の21%から15%未満まで引き下げることを提案。売却益について、運賃値下げや沿線開発などに振り向け、企業価値向上に努めるよう求めている。

京成電鉄は「短期的な売却自体を目的化している」と批判し、真っ向から対立している。

株主の利益還元や株価上昇の促進を目的にアクティビストが自社株買いを求める動きが増えている。米投資ファンドのダルトン・インベストメンツは戸田建設に自社株買いを提案しているが、同社は成長投資の優先を理由に反対している。

このほか旧村上ファンド系の投資会社などが巨大複合施設の超高層マンションの建設の遅れで、一時業績が悪化していた三井住友建設の株式を買い増している。状況次第では経営改善要求が強まる可能性もある。