「分譲マンションで漏水!」修理代は住人が負担するのか?管理費から払うのか?“責任の所在”について弁護士が解説

AI要約

分譲マンションでの水漏れ事故について、管理費の負担に関する法的解説が行われている。

漏水原因によって、専有部分の区分所有者や全区分所有者が責任を負う場合があることが解説されている。

漏水原因の特定が重要であり、責任の所在を明確にすることが解説されている。

「分譲マンションで漏水!」修理代は住人が負担するのか?管理費から払うのか?“責任の所在”について弁護士が解説

 同じ家に長年住んでいれば、防げないのが経年劣化。分譲マンションで漏水事故が起きた場合、誰の責任になるのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【質問】

 小さな分譲マンションに住んで25年です。管理人がいないので、住人が順番で管理当番をしています。

 入居して10年目、わが家の下を通っている配管に亀裂が入り、下階に水が漏れ、修理代を私が支払いました。しかし、ほかの家が水漏れをしたときはマンションの管理費で支払われていることが最近わかりました。このような水漏れは誰の責任になりますか。管理費で払うものではないのでしょうか。(広島県・73才女性)

【回答】

 マンションの管理規約に特別の定めがないという前提でお答えします。マンションには、各区分所有者が独立して利用する専有部分(主に住戸の部屋)とそれ以外の共用部分(隣室との境界壁、廊下、外壁・上下階とのスラブ等)があります。専有部分は区分所有者が所有し、共用部分は区分所有者全員の共有です。

 事故が専有部分で起きた場合は、その専有部分の区分所有者の責任で解決し、外壁やスラブなど共用部分で起きた場合は、区分所有者全員あるいは管理組合が積み立てた管理費で支払います。もし管理費が不足していれば経費を出し合って対応する必要があります。

 給排水の配管はいろいろなパターンがあるようですが、上下階の間のスラブの上または下を水平に通り、上階もしくは下階の各区画の床下もしくは天井裏から室内の配管(枝管)に接続して、給排水しつつ、パイプシャフトを通って下階に続いているのが一般的です。

 枝管は専有部分内に入り込んでいますから、スラブの上下を経て室内に入ってからの配管に原因がある水漏れは、専有部分内の付属物により起きた事故として専有部分の区分所有者の責任になります。ですので、その区分所有者が修繕費を負担したり、水漏れによって下階の居住者に損害をかければ賠償責任を負います。

 そうではなく、スラブや隣の区画との壁を壊さないと修繕できない場所が原因で起きた漏水は、共用部分に原因があるので、マンション区分所有者全員で修繕費を負担することになります。上階と下階の間に空間があって、そこに配管されている場合は、その中は個々の区分所有者が独立して利用できないので、そこでの漏水事故は共用部分の事故になります。

 一方、ある特定の専有部分だけが利用する給排水の配管で外部に露出しており、他住戸の専有部分を利用することなく点検や修繕ができるような場合には、その専有部分の区分所有者の責任になると思います。あなたの場合も、水漏れの原因がどこにあったかによって責任の所在が変わりますので、そこをまず明確にした上で方針を決めるといいでしょう。

【プロフィール】

竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2024年6月27日号