米国の利下げ遅れれば歴史的円安歯止めかからず 日銀、国債買い入れ減額で〝時間稼ぎ〟

AI要約

FRBは利下げ見送りを表明、円安基調は変わらず。日本の金融政策も焦点となり、追加利上げは見送られる可能性。

日銀の金融政策は長期国債買い入れの減額を検討し、円安を歯止めする難しさが浮き彫りに。

日銀総裁の発言が為替相場に影響を与え、政策が軌道修正される中、経済不安要因や認証不正の影響に警戒。

米連邦準備制度理事会(FRB)は12日、主要政策金利は据え置く一方、年内3回の利下げを行うとしていた従来予想を1回に引き下げた。高金利政策が長期化し、日米の金利差が開いた状態が長引くとの見方が広がり、円安ドル高基調は変わらなかった。13日に始まった日本銀行の金融政策決定会合では長期国債買い入れの減額の方針が焦点となっているが、米国の利下げが遅れれば、歴史的円安に歯止めをかけるのは困難だ。

◆円安基調に変化なし

日銀は月6兆円程度の長期国債買い入れを続けるという大枠を保ちながら、5月13日に突然、指標となる新発10年債の買い入れ額を従来の4750億円から500億円減らすと発表した。これを受け、債券市場では流通利回りが急上昇。5月22日には11年ぶりに節目となる1%台に達した。

本来なら金利上昇は、為替相場が円高方向に振れる要因となる。しかし、日米の金利差が大きいため、1ドル=155円を上回る円安水準が続いている。

◆植田総裁は発言軌道修正

為替は日銀ではなく、財務省の管轄だが、植田和男総裁の発言が為替相場に与える影響は大きい。

4月会合後の会見で「基調的な物価上昇率に、今のところ大きな影響を与えているということではない」となど発言。円安を容認していると捉えられ、対ドル円相場は1ドル=160円台を付け、大型連休中に政府・日銀が為替介入に踏み切る事態を招いた。その後、「日銀の政策運営上、十分注視していく」と発言を軌道修正した。

一方で、国債の買い入れを減らしたい考えをたびたび表明。今月6日の参院財政金融委員会でも「今後、大規模な金融緩和からの出口(戦略)を進めていく中で減額することが適当だ」と述べた。

◆追加利上げ見送りの公算

日銀関係者は前回の4月会合以降の経済・物価の動きは「想定内」とみるものの、力強さを欠く個人消費や、トヨタ自動車などで新たに発覚した認証不正の影響などを不安視する。

日銀は13日から始まった会合で経済の好循環が生まれるかを見極めるため、追加利上げは見送る公算が大きく、長期国債の買い入れの減額について、どの程度減らすかやタイミング、ペースなどを議論しているもようだ。