物流危機対策、まず急ぐべきは現状の「中継物流拠点」「共同配送」のフル活用だ!

AI要約

物流施設の注目施設であるコネクトエリア浜松について紹介。

施設の位置や利便性、東京・大阪からのアクセスについて。

中継物流拠点の活用によるメリットや他地域での実証実験の進捗状況など。

物流危機対策、まず急ぐべきは現状の「中継物流拠点」「共同配送」のフル活用だ!

 今ますます注目が集まっている物流施設がある。それはコネクトエリア浜松(静岡県浜松市)だ。同施設は、NEXCO中日本と遠州トラック(同県袋井市)が共同で提供する中継輸送サービス施設である。

 新東名高速道路浜松サービスエリアの隣接地にあり、運営・管理のほか運用支援を行っている。2018年9月に事業開始と、コロナ前からサービスを開始。物流業界の人手不足や労働環境改善、「2024年問題」が顕在化してから、その利便性が評価されてきたといっていい。

 施設には、30台分の駐車マス(予備2台)があり、トラックのドライバー交換やトレーラーのヘッド交換と、中継物流拠点として使用できる。コネクトエリア浜松は、浜松サービスエリア(SA)スマートインターチェンジ(IC)から至近であり、高速道路の上下線から容易にアクセスできるのが特長だ。

 また、浜松に中継物流拠点を設けたという点が、このサービスの肝(きも)といっていい。東京と大阪からの距離をみると

・東名:東京IC~新東名 浜松SA:224km(約2時間48分)

・名神:吹田IC~新東名 浜松SA:246km(約3時間5分)

と、ほぼ中間に位置しているという絶妙なロケーションにある。

 中継物流拠点の活用により、東京・大阪からの日帰りが可能となりドライバーの拘束時間が短縮するとともに、労働環境が改善されるメリットを享受できる。

 中継物流拠点の実証実験や整備は、国土交通省や民間レベルで着々と進んでいる。そのひとつは、広島県廿日市(はつかいち)市で計画しているコネクトパーキング宮島だ。

 もともと広島エリアは近畿圏と九州の中間に位置しており、広島県内の小谷SA、八幡PA、福山サービスエリア(SA)、宮島SAのいずれかでトラックドライバーが休憩を取る傾向があるという。2022年3月に宮島SAを使用した実証実験を行った結果、ドライバーの満足度や事業者の導入意向が高いことから整備することとなった。

 北海道では、道の駅や除雪ステーションを活用した中継輸送の実証実験が行われていた。実証実験では、トラックドライバーの労働時間削減といった効果が得られたものの、車両位置確認やマッチングシステムの整備が必要とのことだ。地域や輸送量によっては、中継地点を整備するだけでは運用が難しいということだろう。

 国土交通省の資料によると、片道約300kmを超えると日帰り運行が不可となることから、片道300~600kmの範囲が中継輸送に適しているそうだ。今後は、輸送量や物流事業者のニーズを踏まえて整備を進めたいとしている。

 民間レベルでは、トラック事業者が自社の拠点を利用して中継輸送を行うほか、倉庫事業者、製造業者、あるいは商社が独自に中継物流拠点を設ける取り組みを進めている。