「物流の鳥栖」新たなスマートICで高まる存在感…半導体関連産業も集積「輸送時間短縮は重要」

AI要約

九州自動車道・鳥栖ジャンクション(JCT、佐賀県鳥栖市)の南約3キロの地点に9日、「小郡鳥栖南スマートインターチェンジ(SIC)」が開通する。周辺では、半導体関連産業や物流施設が集積する動きが活発化しており、鳥栖や福岡県小郡市一帯の存在感が高まる見込み。

SICは九州道に直結し大型車両も出入り可能で、物流の効率化が見込まれている。周辺の九州道は1日約7万台が通過するため、鳥栖JCT周辺の混雑緩和が期待される。

半導体関連企業の集積が進む九州では、投資や新産業団地の整備が盛んであり、SIC開通による経済波及効果が期待されている。

 九州の交通の結節点である九州自動車道・鳥栖ジャンクション(JCT、佐賀県鳥栖市)の南約3キロの地点に9日、「小郡鳥栖南スマートインターチェンジ(SIC)」が開通する。周辺では、半導体関連産業や物流施設などが集積する動きが活発化しており、鳥栖や福岡県小郡市一帯の存在感がさらに高まりそうだ。鳥栖JCT周辺の混雑緩和が想定され、物流の効率化も見込まれている。(中尾健、緒方慎二郎)

 5月下旬、通常のICより構造が簡易的な同SICで報道陣向けの説明会が開かれた。ETC(自動料金収受システム)搭載車で、九州道をまたぐ新しい橋の先のカーブを下り、ゲート前で停止すると、バーが開いた。その先は、福岡、佐賀両県が整備した連絡道路(今年3月に開通)に接続している。

 SICは九州道に直結し大型車両も出入り可能だ。西日本高速道路久留米高速道路事務所の三好崇士工事長は「地元に貢献できるSICになることを期待する」と述べた。SICと連絡道路の総工費は約170億円。

 周辺の九州道は1日約7万台が通過するほか、鳥栖JCTでは大分道、長崎道から合流する車などで混雑し、一帯の一般道も混む。福岡県によると、2030年度にはSICを1日平均4200台が通過する見通しで、鳥栖IC(鳥栖市)や久留米IC(福岡県久留米市)の混雑緩和が見込まれる。

 九州では半導体受託製造の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県進出など、半導体関連企業の集積が進んでおり、鳥栖市一帯でも関係する投資が盛んになっている。

 日本通運(東京)は、同市の鳥栖商工団地近くで、半導体関連機器などを取り扱う大型物流倉庫を整備している。同社は「納品先までの輸送時間短縮は重要」とSIC開通を歓迎する。

 佐賀県と鳥栖市は民間の開発事業者と連携し、SIC北西の約34ヘクタールで新産業団地を整備する。30年度に立地企業が操業を開始する予定だ。市の担当者は「半導体関連を含む製造業の進出は、雇用創出などの経済波及効果が期待できる」とする。小郡市もSIC周辺での企業誘致を目指している。