レクサスLBX 詳細データテスト インテリアの質感は高い 意外に硬い乗り心地 モアパワーがほしい

AI要約

人気のない小型高級車市場で成功を目指すレクサスの新車LBXについて紹介。

トヨタのプラットフォームを使用しつつ、レクサス独自のデザインやパワートレインを搭載。

NVHや乗り心地の向上など、レクサスらしい高品質へのこだわりが見られる。

レクサスLBX 詳細データテスト インテリアの質感は高い 意外に硬い乗り心地 モアパワーがほしい

小さな高級車はいかがだろうか。もしもひとや荷物を多く乗せることがなくても、内装のハイエンドなマテリアルや遮音性、快適な乗り心地はほしいだろうし、さらにコンパクトカーの活発さや取り回しのよさも兼ね備えていたらうれしいではないか。

誰でも気づきそうなアイデアではあるが、それを実行したメーカーはじつに少ない。商業的に成功を収めた例は、さらに少ないといえる。スモールカーとしては高価なクルマで、十分に納得できる販売台数を稼いだのは、ミニくらいのものだろう。

アウディA1は初代こそうまくいったが、2代目はそこまでの成功を再現できずに苦戦し、どうやら3代目への世代交代はなさそうな気配だ。Q2も同じく、ヒットには結びつかなかった。オペル/ヴォグゾールが、プレミアムブランドへの転身をアピールしようとしたアダムも、わずかな支持しか得られなかった。

それでも怯まないのが、我が世の春を謳歌するトヨタだ。ヤリスクロスの基本設計を応用して、レクサスLBXを生み出した。それも、単なる様子見で片手間に造ったようなクルマではない。レクサス・ブレイクスルー・クロスオーバーを意味するとされる車名を与えられ、欧州市場の嗜好を明確に意識して開発された初のレクサスだという意欲作だ。

レクサスはこのLBXで、これまでより若い顧客層の取り込みを目論んでいる。英国での年間販売目標は、6000台とのことだ。

もしもLBXを、レザーで飾っただけのトヨタ・ヤリスクロスだと評したら、レクサスのエンジニアたちは大いに違を唱えるだろう。というのも、基本骨格を共用する以上のことをしているからだ。

プラットフォームはトヨタのBセグメント用コンポーネンツであるTNGA-Bのバリエーションで、ハイブリッドパワートレインともども、ヤリスクロスとベースは同じ。しかし、各車で別個に開発されたというのが、エンジニアの主張だ。

実際のところ、パワートレインは改良版ヤリスと大差ない3気筒ハイブリッドだが、電気モーターは9psアップ。そのモーターを存分に活かすため、バッテリーも0.76kWhのリチウムイオンから、1.0kWhのニッケル水素に変更。最新のバイポーラ式で、プラグインではないハイブリッドに求められる急速な充放電性能や、LBXが欲した高出力を実現した。

年内に追加される電気式4WDは、リアアクスルに6.4ps/5.3kg-mのインダクションモーターを搭載。明らかに、パフォーマンスへの貢献度は小さく、0-100km/h加速はむしろ0.4秒遅くなる。あくまでも滑りやすい路面で、低速時のトラクションを増すのが狙いのメカニズムだ。

1.5L直3自然吸気は、パワーもトルクもヤリスと同じだが、バランスシャフトが追加され、エンジンのバイブレーションを相殺してスムースさをもたらす。

LBXを正真正銘のレクサスとして仕上げるために、NVHの磨き込みは重視された。ドアを閉める際の音は、パネル内に設置した減衰シートで調整。また、ルーフやアンダーボディに遮音材が追加されている。タクミ以上の上位グレードには、遮音ガラスとアクティブノイズキャンセリングも備わる。

マルチリンクを用いるミニとは異なり、LBXは小型車の常道ともいうべき前マクファーソンストラット/後トーションビームというサスペンションだが、4WD版のリアはダブルウィッシュボーンとなる。ステアリングコラムには振動を吸収する、伸縮機構付きインターミディエイトシャフトを装着する。

ボディパネルに、ヤリスクロスとの共通点はなく、ホイールベースは20mm、全長は10mm上回る。レクサスの新世代デザインを採用し、ややトーンダウンしたスピンドルグリルがフロント部に統合された。ヤリスに比べるとAピラーは後方にあり、ボンネットは長く、ホイールアーチはフレアしている。残念なのは、Cd値が0.34と高いことだ。