信託AUMの機能を充実、運用収益を令和12年に529億円に りそなHD・南昌宏社長

AI要約

りそなホールディングス(HD)の南昌宏社長は高齢化社会で個人のライフプランを支える信託AUMを充実させる計画を発表。

具体的には、ファンドラップに運用資産を現物承継できる機能を追加する国内初のサービスを開始。

経営方針の変化に伴い、政策保有株式を削減し、成長投資に注力する方針を示した。

りそなホールディングス(HD)の南昌宏社長は3日までに産経新聞のインタビューに応じ、高齢化社会で個人のライフプランを支える「信託AUM(運用資産残高)」と呼ぶ信託財産の機能をより充実させると明らかにした。令和12年度までに残高は5年度の10兆6千億円から15兆8千億円に、運用収益は328億円から529億円にそれぞれ増やす計画だ。

政府が資産運用立国を掲げ、将来の物価上昇が見込まれる状況を踏まえ、南氏は「緩やかなインフレを前提に運用資産が増えていく流れの中で、より多くの顧客に資産運用の良さを知ってもらい、長期で運用してもらうのが金融機関の役割だ」と述べた。

具体的には、顧客が金融機関に運用を一任し、主に投資信託で運用する「ファンドラップ」に、換金せずに運用資産を現物承継できる機能を10日に追加する。

国内初のサービスだといい、南氏は「資産を使いながら運用し、次世代に円滑に承継できる」とメリットを強調した。令和12年度にファンドラップ残高は5年度の8千億円から1兆6千億円に倍増させたい考えだ。

2兆円規模の公的資金の投入が決まり実質国有化された平成15年の「りそなショック」当時に簿価ベースで約1兆4千億円あった政策保有株式は、令和6年度から6年間の新計画では870億円程度にまで削減する。売却を通じて3千億円相当の資本を捻出する。

南氏は「長い時間軸の中で取り組んできた施策の最終局面に来た」と説明。「中堅・中小企業、個人の顧客によりよい価値を提供していくには成長投資が必要だ。社会産業構造の変化やテクノロジーの進化で顧客の金融行動も変わってくる。それに適応するため、自らが構造改革をしなければならない」と話した。