中国市場への「EV投入」遅れ鮮明! 市場減速とタイミング合わず、今後の戦略見直しを迫られるのか

AI要約

中国最大の自動車展示会である北京モーターショーが4年ぶりに開催され、日本メーカー各社が最新車種やコンセプトカーを多数発表した。

中国市場は現在、電気自動車(EV)特需に沸いており、2023年には年間販売台数が650万台を超え、国内市場の2割を占めるといわれている。中国には古くから存在する伝統的なメーカーに加え、EVを専門とする新しいメーカーが星の数ほど誕生している。

日本メーカーも以前から中国市場で一定のシェアを持っていたが、近年の急速なEVシフトに対して出遅れが目立つ。

日産、ホンダ、マツダが多数の新型EV車を中国市場に投入する動きを見せている中、トヨタは遅れを挽回すべく、北京モーターショーで2台の新型EVを世界初公開し、本格的なEV投入を宣言した。

中国製のバッテリーを搭載したトヨタの新型EVは、中国市場での存在感を高めるだけでなく、将来的には日本市場にも投入される可能性がある。

中国市場への「EV投入」遅れ鮮明! 市場減速とタイミング合わず、今後の戦略見直しを迫られるのか

 中国最大の自動車展示会である北京モーターショーが4年ぶりに開催され、日本メーカー各社が最新車種やコンセプトカーを多数発表した。

 中国市場は現在、電気自動車(EV)特需に沸いており、2023年には年間販売台数が650万台を超え、国内市場の2割を占めるといわれている。中国には古くから存在する伝統的なメーカーに加え、EVを専門とする新しいメーカーが星の数ほど誕生している。

 また、中国はEVの輸出にも力を入れており、欧米市場でのEVシェアの多くを中国製が占めるなど、中国製EVの存在感は年々高まっている。日本メーカーも以前から中国市場で一定のシェアを持っていたが、近年の急速なEVシフトに対して出遅れが目立つ。

 国内メーカーも北京モーターショーに参加し、新型車などを発表しているが、市場の流れに沿って2024年のモーターショーはEV一色となった。

 日産は日本の自動車メーカーに先駆けてEVを製造し、すでに「アリア」や「シルフィ」といった量産EVを中国に投入している。北京モーターショーでは4車種のEVコンセプトカーを発表し、今後EVやプラグインハイブリッド車(PHV)を含む5台の新エネルギー車を投入すると発表した。ホンダは中国市場に6車種のEVを投入する計画を発表し、コンセプト車種「イエシリーズ」を公開した。そして、マツダは新型EV・PHVセダン「MAZDA EZ-6」を発表し、今後4車種のEV・PHV新型車を投入するなど、市場に合わせた動きを見せている。

 これらのメーカーは以前から日本市場にEVを積極的に投入しており、北京モーターショーでの発表もその流れをくむものだが、今回新たな動きを見せたのがトヨタだ。

 トヨタは、北京モーターショーでふたつの新型EV車種「bZ3C」「bZ3X」を世界初公開し、今後1年以内に中国市場に投入すると発表した。

 トヨタは日本メーカーでトップシェアを誇る自動車メーカーであり、低燃費車の火付け役であるハイブリッド車「プリウス」でクリーンなイメージを強く打ち出している。他の国内自動車メーカーが次々とEVを投入するなかでも、トヨタはハイブリッド車やPHVの投入を増やしており、純粋なバッテリーEVの投入には消極的だった。

 それでも2022年にトヨタはEVのコンパクトスポーツタイプ多目的車(SUV)「bZ4X」を発売したが、スバルとの共同開発で販売台数も限られたため存在感は薄く、トヨタのEVに対する後ろ向きな姿勢が垣間見えた。

 しかし、トヨタは2023年前半からEVに戦略をシフトし、2026年までに10車種を投入すると発表している。

 今回の北京モーターショーで発表された2台の新型EVは、こうした戦略に基づくもので、トヨタの本格的なEV投入の幕開けと見るべきだろう。

 新型EVは中国BYD製のバッテリーを搭載しており、中国企業との協業が垣間見え、近い将来、トヨタが中国EV市場で存在感を示すことは確実だ。現時点では、中国以外の地域でのEV投入については発表されていないが、日本でもトヨタの新型EVが登場する日はそう遠くないだろう。