トランプ氏「口止め料」事件とは?  業務記録を虚偽記載

AI要約

トランプ前米大統領が不倫口止め料不正処理事件で刑事責任を問われる。

公判で検察・弁護側双方の証言が行われ、トランプ氏は無罪を主張。

事件は11月の大統領選への影響を持ち、トランプ氏の再出馬にも影響する可能性がある。

 トランプ前米大統領が大統領経験者として初めて刑事責任を問われた不倫口止め料不正処理事件。前代未聞の裁判の概要をまとめた。

 ―トランプ氏の罪状は。

 2016年大統領選の直前、ポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに支払った不倫の口止め料を「弁護士費用」と偽って帳簿や小切手に記載したとして、業務記録改ざんで34件の罪に問われた。

 口止め料の支払い自体に違法性はないが、検察側は選挙に不利な情報を隠す目的だったと指摘し、軽犯罪ではなく重罪に当たると主張。トランプ氏は全ての罪状で無罪を訴えた。

 ―公判はどう進んだのか。

 4月15日に初公判が開かれ、6週間で検察・弁護側双方を合わせ22人が証言した。ダニエルズさんはトランプ氏との出会いや性的関係を詳述。腹心だったマイケル・コーエン元顧問弁護士は、トランプ氏に「いいからやれ」と口止め工作を指示されたと証言した。

 弁護側は、証人が金や復讐(ふくしゅう)のためにトランプ氏を陥れようとしているとして、証言の信用性に疑義を唱えた。トランプ氏は連日出廷したが、一度も証言はしなかった。

 ―11月の大統領選への影響は。

 トランプ氏は共和党候補に指名されることが確定している。刑事責任の有無は出馬資格に影響せず、民主党のバイデン大統領との再対決に向けて「事件は政敵に対する選挙妨害だった」との主張を続けるもようだ。トランプ氏の控訴は必至で、裁判が長引けば選挙活動に支障を来す。

 ―大統領になれば自身を恩赦できるのでは。

 大統領の権限が及ばない州法違反に問われたため、トランプ氏が返り咲いてもこの事件で自身を恩赦することはできない。(ワシントン時事)