台湾のWHO排除は世界の公衆衛生への脅威 日本もリーダーシップ発揮を 台北駐福岡経済文化弁事処長(総領事)陳銘俊の一筆両断

AI要約

台湾は世界保健総会(WHA)への参加を求め続けているが、中国の圧力により招待を受けていない。台湾は医療および防疫における実績と能力を持ち、WHOメンバーとしての資格があると主張している。

米国や欧州連合などが台湾のWHA参加を支持し、中国に対抗している。日本政府も台湾との協力を強化しており、国際社会に台湾の参加を促す声が広がっている。

今年のWHOのテーマは、全ての人が医療や情報にアクセスする権利を持つことだが、台湾が参加を拒否されるべきではないとの主張がある。

台湾のWHO排除は世界の公衆衛生への脅威 日本もリーダーシップ発揮を 台北駐福岡経済文化弁事処長(総領事)陳銘俊の一筆両断

「All for Health, Health for All」をメインテーマとする世界保健総会(WHA)は5月27日からスイスのジュネーブで開催されている。世界保健機関(WHO)の最高意思決定機関であるWHAに台湾は2016年までオブザーバーとして参加していたが、中国からの圧力により、2017年以降招待を受けていない。

台湾の医療および防疫における実績は誰の目にも明らかで、実力面でも十分、WHOのメンバーになる資格がある。台湾はフルメンバーとして参加する実力を持ち合わせていながら、大国間競争に挟まれてそれがかなっていない。世界の健康に有意義に貢献するため、やむを得ずオブザーバー参加を求めてきたのは、非常に実務的かつ謙虚な要望である。人類の健康を守る責務を背負うWHOは良心に基づき、台湾を無視すべきではない。

東京大学医学部出身である台湾の邱泰源・衛生福利部長(厚生労働相に相当)は現在も、ジュネーブでWHOに欠けているこの大事なピースを埋めようと活動を続けている。

台湾に代わり中国の国連代表権を認めた1971年の「国連総会決議2758号」の中国による歪曲(わいきょく)解釈に対し、米国は現在強く反撃している。同決議は台湾を国連システムや他の多国間フォーラムへの有意義な参加から排除するものではないと強調しており、米国東アジア・太平洋担当国務次官補ダニエル・J・クリテンブリンク氏は「われわれは例年通り、近いうちに台湾のオブザーバーとしてのWHA参加を支持する旨を再び発言する予定である」と述べた。欧州連合(EU)からも台湾は「WHOを含む専門的な国際的多国間フォーラムに参加させるべきである。台湾の技術と力が世界とEUの利益に付加価値をもたらすことができる」と発言した。

日本政府は、民主主義諸国と同じ立場にあるとともに、特にコロナ禍においては台湾と日本両国国民の健康のためにマスクやワクチンなどの医療資材を互いに寄贈し、支援し合った経験を持つため、台湾の実力と世界に対する貢献の心構えへの深い理解を持っているはずだ。故に、台湾のWHA参加を支持する声がさらに拡大するよう、国際社会、特にアジアへの影響力、リーダーシップを発揮してほしい。

今年のWHOのテーマは「世界中の誰もが医療、教育、情報を受ける権利を持つ」というものだ。台湾もそこから排除されるべきではない。