ロシア軍の車両不足がますます深刻化 70年前の軽装甲車両で無謀な突撃

AI要約

1950年代に開発されたBTR-50装甲兵員輸送車は、ウクライナ戦争の中で古くながらも活躍している。機械化部隊の不足や装甲の薄さから安全性に疑問が残るが、ロシア軍にとって重要な役割を果たしている。

過去の発展と現在の状況を踏まえると、BTR-50は時代遅れの軽装甲車両であり、1960年代以降は補助的な役割が中心となっていた。それでも、現在の状況下では欠かせない存在となっている。

ロシア軍が近年増加させているBTR-50の運用は、ウクライナ侵攻における損失の補填や新しい戦術の展開に関連している。古い車両であるが故に、制約はあるものの依然として重要な戦力として活用されている。

ロシア軍の車両不足がますます深刻化 70年前の軽装甲車両で無謀な突撃

1950年代に開発され、防護の薄いBTR-50装甲兵員輸送車は、ロシア軍がウクライナ軍の陣地に対する直接攻撃に用いている車両のなかで、最もひどい代物ではないにしても、おそらく最も古いものだろう。

最もひどくはないと言えるのは、たとえばゴルフカートのような前後左右吹き抜けの中国製の新しい車両よりは、たとえ厚さ10mmでも装甲のある車両に乗り込んで移動するほうが、ロシア兵にとってまだ安全だろうからだ。とはいえ、ロシアのウクライナに対する全面戦争が2年4カ月目に入ろうとするなか、ウクライナ東部の戦場でBTR-50の出番が増えているというのは、やはりロシア側にとって不吉なことである。

ウクライナの調査分析グループであるフロンテリジェンス・インサイトは「戦車のような相応の戦闘車両を完全に装備する機械化部隊がなければ、防御を迅速かつ決定的に突破することは非常に難しいだろう」と解説している。そのうえで「ロシア側はこうした制約があるために、前進は遅く限定的なものになり、全体の進捗も妨げられる公算が大きい」と予想している。

BTR-50はディーゼルエンジンを搭載し、無限軌道(キャタピラ)を履いた重量14.5tほどの装甲車両で、乗員2人のほか、兵員最大20人が乗り込める。通常、重機関銃を装備する。

BTR-50は1950年代初めにソ連で開発され、1954年に就役してから12年にわたってソ連軍の主力戦闘車両だった。乗員はBTR-50で歩兵部隊などを戦場に運び、防護しながら下車させ、その後兵士たちを機関銃で支援した。

ただ、BTR-50は1960年代の基準ですら軽武装で軽装甲だった。そのため、より重く、より重武装のBMP-1歩兵戦闘車が1966年に導入され、数千両のBTR-50は第二線の部隊に回された。これらのBTR-50は砲兵や工兵、対空砲などを運ぶのに使われたが、その役割ものちにMT-LB装甲牽引車が担うようになった。

今日のロシア軍も、もともとはBTR-5をほとんど使っていなかった。だが、2022年2月のウクライナ全面侵攻後1年3カ月ほどたった頃から、ロシア軍がウクライナで月に失う近代的な装甲車両の数は、新規生産や1980年代製以降の比較的新しい保管車両の改修による補充分を上回るようになった。