敵前上陸「地上の地獄だった」 対ロシア渡河作戦、兵士ら証言

AI要約

ウクライナ軍がロシア軍との戦闘において、ドニエプル川を渡り橋頭堡を築く危険な作戦を続けている。

兵士らは大河を渡り潜伏し、非常に過酷な条件下で交戦を続けており、作戦の成果は限られている。

小型艇を使った夜間の渡河作戦は命を懸けた危険な任務であり、操縦士たちは頻繁に攻撃を受けている。

 ロシア軍が待ち受けるドニエプル川の対岸に、小型艇で少数の歩兵を送り込み橋頭堡を築き、猛攻に耐えながら確保する―。ウクライナ軍は昨年秋から、南部ヘルソン州で危険度の極めて高い渡河作戦を継続している。兵士や武器の数で圧倒的不利な状況下で、大河を渡り廃虚の地下に潜伏しながら交戦を繰り返す。兵士らは「地上の地獄だった」と口をそろえた。

 昨年秋から今月に作戦に従事したウクライナ軍兵士計6人が19日までに、同州などで共同通信の取材に応じ、凄惨な実態を証言した。ウクライナは奪還地域を拡大できず作戦の成果は乏しい。

 証言によると、ウクライナ軍は通常、深夜から未明に北岸の茂みから小型艇を出発させ、一隻当たり4~5人の歩兵を南岸に輸送する。小型艇はドローンが投下する爆弾や砲撃を蛇行して避けながら、全速力で対岸を目指す。

 遮蔽物がない川面は無防備だ。小型艇操縦士トレット(28)は「殺される恐れが最も高い場面の一つだ」と話す。同僚の操縦士は命を失い、自らも約50メートル先の水面に爆弾が落ちた経験がある。