「大統領夫人の名前出るたびにニュースを縮小・削除」…物議醸すYTNの「報道統制」

AI要約

YTNで尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人キム・ゴンヒ女史の関連報道に対する報道統制が物議を醸している。

YTN労組が報道統制を糾弾し、会社側は報道の公正性と正確性を主張している。

過去の類似事例や報道統制の経緯が言及されている。

 放送局「YTN」で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史関連報道に対する統制が物議を醸している。すでに放送された報道からキム・ゴンヒ女史に対する批判的な発言を削除し、「ブランドバッグの受け取り場面」の使用禁止令が下される形だ。全国言論労働組合(言論労組)のYTN支部は「『キム・ベク体制』のYTNによる龍山に向けた忠誠競争」と糾弾する一方、会社側はニュースの公正性と正確性のための日常的措置だったと反論している。

 YTNの労組「公正放送推進委員会」は20日、「キム・ゴンヒ女史はYTN報道の聖域なのか」と題する声明を発表し、「キム・ベク社長の就任後、YTNからキム・ゴンヒ女史に不利なニュースが消えている」と明らかにした。労組は「なぜ特に『キム・ゴンヒ』の名前が出てきさえすれば、YTNの報道は縮小され削除され禁止されるのか」とし、「龍山(大統領室)に向けた過度な顔色伺いであり、忠誠競争だ。会社側はキム女史の報道を取り巻くカーテンをはずせ」と主張した。

 労組と会社側の説明によると、キム女史の「ブランドバッグ受け取り事件」と関連し、検察に出席したチェ・ジェヨン牧師が「何も受け取らなかったら、何も起きなかった」と発言した録音内容が14日の報道から削除された。チェ牧師の発言を含むニュースが一度放送された後、キム・ウンゴン報道局長が編集部に「一方的な主張は使わない方が良い」として、録音内容を削除するよう指示したというのが労組の説明だ。

 今月6日には「ブランドバッグ疑惑を全面的に捜査…告発人『追加告発を準備』」という記事が出たが、翌日、この記事から「ブランドバッグ受け取り映像」を削除し、今後も使用するなという指示が下された。昨年12月に公開されたインターネットメディア「ソウルの声」の「おとり取材」の動画の使用を禁止したのだ。会社側は「違法の疑いがある動画であり、報道局内部で議論を経て使わないことを決めて実務部署に通知した」と釈明した。

 第22代総選挙の翌日である先月11日にも「検察、キム・ゴンヒ女史の取り調べの見通しに『必要な捜査を進行中』」という短い記事が社会部長によって大幅に修正されることがあった。見出しは「政治的に敏感な事件の質問に、検察『必要な捜査を進行中』」に変わり、「キム・ゴンヒ」という名前が削除された。記事の配置においても、民主党全党大会の現金入り封筒疑惑が前になり、キム女史のドイツモーターズ株価操作介入疑惑は後ろに回された。

 YTN労組のハン・ドンオ公正放送推進委員長は、ハンギョレの電話インタビューで「異例の報道統制指示であり、10年前に起きたことが繰り返されている」と語った。YTNは、朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2014年にも、大統領の警察増員公約を批判した記事で、朴槿恵大統領に関する内容が削除され、物議を醸したことがある。ハン委員長は「朴槿恵からキム・ゴンヒへと権力監視報道の聖域が変わったわけだ」と話した。

 YTNのキム・ベク社長は当時、ペ・ソッキュ社長体制で常務取締役を務めた。先月の就任後、国民向けの謝罪放送で、第20代大統領選挙(2022年)当時のYTNのキム・ゴンヒ女史関連報道を取り上げ、「口にすることも憚られる内容である、一方的な主張を盛り込んだ」と述べた。以後、YTNでは尹錫悦大統領を批判し風刺する内容を盛り込んだ「突発映像」が相次いで放送不可となり、削除されることが起きた。

 YTN側の関係者は、報道統制という批判に対し、「常識的な措置」という趣旨で反論した。チェ・ジェヨン牧師の録音内容の削除は「すでに関連録音を他の報道で十分取り上げており、一方の主張をそのまま伝えるのはニュース導入部のヘッドラインの報道としては適切ではないと判断した」と語った。キム女史の取り調べ関連の記事の修正に対しては「ブリーフィング内容を忠実に反映するために元の記事を修正した日常的措置」だと述べた。

パク・カンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )